- 2016年1月20日
ときどき書いている内容ですが、どんなに優秀な生徒さんでも塾講師よりも上手い解き方、考え方はなかなかできません。
問題を解くキャリアが、塾講師と比較して、不足しているからです。
指導を目的とした塾講師と、自分が解ければ良い戦士である受験生で比較する話ではありません。
何が言いたいかと申しますと、「こうやって上手く考えれば解けるんです」と塾講師は難問の解法を得意げに語ることはありますが、難関校に受かる生徒さんでも、そういう上手いエレガントな解法ではなく、愚直な鈍臭く映る解法で正解をもぎ取っていくのが難関中の入試です。
エレガントな解法を教わることももちろん必要ですが、豊富な練習で、良い解き方が思いつかなくても、根性で解けたという地力をつけることが大切なのです。
教わるよりも、自力で解くことが重要です。
大量の問題を解かせておけば、入試結果はまず間違いなく良い結果になるというのは、私の塾講師時代のモットーでした。
もちろん、負担軽減でも同じ結果になるように工夫を重ねていきましたが、質も大切ですが、量も大切という考え方は、昔から変わっていません。
そういう視点で、現在の塾の事情を見てみますと、塾にいる時間が長すぎて、自力で問題を解く練習量は十分確保できているか心配になります。
スカイプ指導で、昨年は予習制をできる限り取り入れていましたが、解く時間がないとおっしゃる方が多かったです。
塾から、その子にピッタリのとても良い課題が出ているのなら良いですが、一律で出ている課題で、それも反復練習の課題ということが多いです。
これじゃ豊富な練習は難しいなと感じることが多々ありました。
今回は、こういう内容を書くブログではありません。
ここまでの内容は、難関中を目指して、初見の問題に強くなりたい生徒さんは、自力で演習することが大切で、塾で授業を受ける時間を減らし、自習の時間を長く取るべきという意見です。
今回のブログは、そのような上位10%くらいの受験生を対象にしたものではなく、その他大多数の90%の生徒さん向けの内容です。
入試問題は、首都圏で難しい順に並べると、聖光・筑駒・栄光・渋幕・開成・……・早実・渋渋・桜蔭・早稲田・……・芝・慶應普通部・……というイメージを持っています(個人の感想です)。
早稲田くらいあたりまでが、難しい問題で、自力で十分に演習することが大切で、それより易しい問題を出す学校に受験する場合は、そんなに塾の授業を受けて、何をしているのでしょう?と思ってしまいます。
問題を解いて解説を聴いてを繰り返しやっていますが、その半分くらいでも事足りるのではないでしょうか?
例えば、6年生の上位クラス以外の理科や社会は、4年生で学習したことを、ほぼ身についていないことを前提に授業をしています。
身についていたら儲けもので、身についていないことがデフォルトです。
そうしたら、4年生で塾に行った意味があったのでしょうか?
算数でいえば、5年生で割合を分数で学習します。
比を教わったら、その分数の学習の8割以上は不要になります。
難問を出す学校を受けないならば、いまやらなくても良いのにと思ってしまう学習単元がとても多いです。
勉強が大好きで、塾が大好きならば、楽しみに行くということで、それで良いですが、必須ではありません。
トップレベルの学校に合格するために必死に戦うという受験生でなければ、受験勉強に小学生生活のすべてを捧げるのはどう考えてもおかしいです。
どうして、このような文化になっているのでしょう?
塾の経営の安定化と、消費者が上位クラスの生徒だけ差別するなという平等論です。
上記の通り、難問を出す学校であれば、塾に行ってテクニックを教わって、家でも自力で問題を解いてというように受験勉強に没頭することは必要ですが、それを差別と感じてしまうと、おかしなことになります。
例えば、プロ野球選手を目指す人は、中高時代、部活で1年中、勉強そっちのけでハードな練習をすると思いますが、野球が好きなだけな人が同じ生活をしたら、将来、恐ろしいことになります。
昭和の公立中高の体育会系の部活はまさにそれでしたので、日本人の特性かもしれません。
本当に自分にとって必要かどうかを判断すれば、通塾の半分は切り捨てても問題ありません。
スカイプ指導をしていましても、残念ながら、塾でほとんど身につけていないねというケースが多いです。
塾に行くことが無意味と言っているわけではありません。
いまの塾にいる時間を半分にしても、効果は全く変わらないだろうという意見です。
例えば、春期講習は出ないとかGW特訓は出ないで、その分、家で自分に合った勉強を短めの時間でやってもいいですし、あるいは、復活するであろうGOTOキャンペーンを利用して、楽しい旅行をしても、成績は下がりません。
春休みや夏休みに、講習に出ないで旅行に行って、その後、成績が下がったというケースは、塾講師を20年以上経験しましたが、一件も見たことがありません。
真面目な同僚の講師などは舌打ちをしていましたが、それだけです。
思い出話になりますが、私が川崎の塾で初めて6年生を担当したときに、若気の至りだったのか、夏の補講に全く出ない少年に怒って「どうして出ないの!」と言いましたら、「いままで祭りに行っていました。祭りは全部終わったので、今日から出ます」とスッキリした笑顔で返されました。
その少年はクラスでトップレベルの成績を最後まで維持し続け、従来、そのクラスからはあまり受からないレベルの学校に進学できました。
あまりプライバシーを書きたくありませんが、早稲アカに通われていました方に「合宿は行った方が良いですか?」と聞かれましたので、合宿で得られるものをお伝えしましたら、それならばと合宿は辞退して、家族で沖縄旅行に行き、とても楽しかったそうです。
そのケースも、成績がその後、下降する気配すらなかったです。
お子様も旅行は楽しいですが、保護者様にとって、お子様の小学生の間の家族旅行は、掛け替えのない楽しい経験になるのではないでしょうか。
20年後、30年後に「あのときの旅行は楽しかったね」といえる思い出作りは、私は大切なことだと思います。
中学受験はとても厳しいから家族旅行なんてあり得ない!というのは、難関中受験の場合のみです。
難関中受験でも、上手く計画を立てれば、旅行を実行できますが、難関中を目指さなければ、塾があるからと、我慢する必要はありません。
旅行に行ったときは、知的な体験をすることができれば、むしろ、塾に行くよりも効果があると言っても言い過ぎではないと思います。
塾漬けじゃないと中学受験できないわけではないと認識した上で、いろいろと判断すると良いと思います。
1番の問題点は、こういうご相談を塾にすると、100%「ふざけないでください」というような意味の言葉が返ってくることです。
公立中高の体育会系の部活の話は上に書きましたが、部外者から見ると、プロを目指しているわけでもないのに、なんで毎日練習しているの?と呆れて見ていますが、中学受験も、受験を知らない人からすれば、なんで毎日塾に行っているの?と思っていると思います。
中学受験の世界を知らないんだから仕方がないと捉えがちですが、裸の王様に似ている状況なのではないかと思います。
客観的に考えましても、入試問題を見て、週3~5日で夜9時まで、夏休みはほぼ毎日、朝から夕方までの塾生活は、本当にそれをやらないと解けるようにならないの?と思います。