算数の読解力を鍛えていますか?

前回のブログで5年生は速さに取り組むべきと書きましたが、それについて、速さというよりも、文章題の読解力を鍛えるべきというような意見をひょんなところで目にしましたので、今回は算数の読解力向上について書いていきたいと思います。

 

まず、算数の読解力とは、使える条件を見逃さずに使うことです。

国語の、作者の主張や、登場人物の気持ちなどの心情を読み取るものとまるで違いますので、国語の読解力と算数の読解力は比例しません。

いままでのブログでも、それについてはよく書いていましたので、今回は割愛したいと思います。

塾で、「国語の読解力が弱いから算数も……」と言われましても、真に受ける必要はありません。

本気でそう思っているのかもしれませんが、「算数ができないのは僕(先生)のせいじゃない!」という逃げ口上の可能性もあります。

 

国語の読解力はあったとしても、算数が得意でない人は、何が使える条件か分からない可能性が高いです。

逆に、国語の読解は苦手でも、算数が得意な人は、使える条件をいとも簡単にクローズアップして、適切な解き方に繋げていけることでしょう。

もちろん、算数が得意でも、雑に問題文を読んだりすれば、使える条件を見落として解けなかったり、出題意図に反した答えを求めてしまうこともあります。

 

くり返しになりますが、算数の読解力で大切なことは、丁寧に使える条件を探すことと、何が使える条件か判断できる力をつけることです。

 

スカイプ指導で生徒さんを見ますと、年々、読解力が低下しているような気がします。

「まず、どこに注目する?」「こう書いていたら、何をする?」このような発問に答えられない生徒さんが増えているような気がします。

ところが、入試問題は年々、文章題が長文化し、条件が増え複雑になり読解力を重視しています。

とても苦しい時代に生まれてきてしまったと憂えてもどうなるわけでもありませんので、何か対策法を考えていかないといけません。

 

読解力が低下している理由は実際のところよく分かりませんが、読書が足りないとは一概に言えません。

読書というものは、いくらでも斜め読みできますし、著者の主張が正確につかめなくても読めるからです。

自分勝手に都合良く解釈しても、それすら気がつかないということです。

例えば、推理小説で、自らアリバイを見破ろうと意気込んで文章を読めば、相当、精度高く読むと思いますが、普通の読書では淡々と読み、あまり細かい描写まで入っていっていないのではないでしょうか。

推理小説を読めば良いってものでもなく、意識の姿勢によっては精度が高くはならないと思います。

 

そして、勉強の形態ですが、分かりやすさは進化していると思います。

塾の授業も動画授業もタブレット学習も市販の参考書もです。

提供する側が、工夫に工夫を重ねているからです。

すると、自らポイントをつかもうと必死にならなくても、あとで分かりやすい解説が待っていると思うと、推理小説で、主人公がアリバイを見破ってくれるのを待つような姿勢になり、受け身の学習になってしまいます。

タブレット学習などは、ゲーム感覚で、すいすいステージが上がるかのごとく楽しみながら取り組めると思いますが、これで読解力がつくとは到底思えません。

そういえば、以前、教材をつくろうと計画を練り始めたときに、識者(笑)に相談したら、これからの時代は図の豊富さが大切と言われました。

提供側が、楽に理解しやすいものにこだわってコンテンツをつくるおかげで、それを利用する生徒さんは楽しみながら取り組めますが、それが読解力が身につかない原因になっているような気がします。

 

では、読解力の向上についてですが、魔法のような代物はありません。

しっかり書物を読んでいくことしかないと思います。

しっかりというのは、何が重要なのかを真剣に読み取ることです。

算数の読解力は算数の書物でつけていくのが得策だと思います。

算数の文章題ができませんと聞くと、嬉しそうに「じゃ、読書しましょう!」という国語講師がいますが、それで算数ができるようになる理由が分かりません。

 

算数の書物ということで、もちろんお勧めいたしますのは、対話型で1話で8000~12000字の分量のある対話式算数です。

分かりやすくは書いていると思いますが、能動的に読み取っていかないと塾の授業や動画授業のように、分かった気にはなりません。

待っていれば分かりやすく教えてもらえて理解ができるというものではありません。

ここが書物の、読解力など真の力をつける利点です。

精読をしっかりこなしていくことで、何が必要な条件なのかという嗅覚の向上が叶います。

分かりにくいものは論外で、楽に分かった気になる教材を避けようとすると、残された道は、分量豊富の解説書になるのではないでしょうか?

 

実は、対話式算数の購読者から、ときどき、もっと楽に分かるような教材になりませんか?というご要望がございます。

おそらく、そんな長い文章を読まなくても、視覚的に理解したいということなのだと思います。

大手塾の解説書では、それを取り入れようと思っています。

 

対話式算数は、かわいい子には旅をさせよという通り、「楽」「効率」を追求することはございませんので、そういうご要望には応えていません。

頭の良さや勘の良さで、算数の読解力が備わっている生徒さんもいますが、全範囲が終わり、総合演習になって、読解力が足りずに失速する生徒さんがいるのも事実です。

4・5年生の間は、特に、足腰の強化を目指し、しっかり算数の長い文章を読んで、能動的に理解しに行く環境をつくった方が、長い目で安心だと思います。

分かりやすい教材を探すことは大切ですが、楽に身につきそうな教材を探すのはリスクが大きいです。

入試問題の長文化により、読解力が求められる時代に備えて対話式算数を書いたわけではありませんが、結果的に、読解力が求められれば求められるほど、現代に合致した教材だと思います。

対話式算数を是非ご検討願います。

TOP