- 2016年12月10日
とてもひさしぶりのブログになりました。
これからは、いままでのブログを少々手直しして、再アップしていこうと考えています。
私のことを、「考え方にブレがない」とよく保護者様に言われますが、やはり過年度のブログを見ると、怖いものがあります。
数年前はどんなことを考えていたんだろうというようにです。
そのあたりをいまの思想に合わせていきます。
今回のブログのテーマですが、表題の通りです。
ほとんどの塾では割合を学習するとき、分数の問題でたくさん練習すると思います。
しかし、分数だとイメージしにくいので、授業を工夫している講師は、比の概念で分数の問題を教えていると思います。
素朴な疑問として、「それなら、どうして比を先に学習しないの?」と思う方もいらっしゃると思いますが、算数七不思議の一つと言ってもいいかもしれません。
イメージしにくい分数でも、ガンガンに解くことでイメージできてしまう優秀な生徒さんを想定したカリキュラムと言っても過言ではありません。
スポーツはかなり近代科学を取り入れてトレーニングしているようですが、学問の方は相変わらず古典的なトレーニングを踏襲しています。
世界との厳しい戦いがないからなのでしょうか。
とは言いましても、私も、メイン教材の対話式算数の割合は分数から始め、その際、できるだけ比の概念を使っています。
「線分図に分数を書くな!」というのはスカイプ指導でも標語になっているくらい口酸っぱく言っています。
分数から始めている理由は、大手塾に合わせているからです。
今回、実験的に大手塾とは外れて「比から入ったらどうなるだろう?」ということで、テキストを書き直しています。
受験算数の伝統よりも、受験生ファーストを貫いています。
対話式算数は1週間で1話(5テーマ)ですが、10テーマまで決まりほぼ書き終わっています。
ざっと書きますと、
- 比と分数
- 比例配分
- 和差比
- はじめ・あと(差と比)
- はじめ・あと(和と比)
- 端数がある
- 分数を比に直そう
- 和の変化を考える
- 差の変化を考える
- 最小公倍数を利用する
抽象的なタイトルだったりしますので、算数指導に慣れていない方だとイメージが湧きにくいと思いますが、算数指導に慣れている頭の柔らかい講師が見ましたら、かなりそそられる構成になっているのではないでしょうか。
このあと、「連比」→「全体を最小公倍数にする」→「比の式をならべる」→「逆比」と続いていきます。
そこでようやく一段落しますので、それから「歩合・百分率」→「割合をかける」→「残りの」というように、分数に入ります。
線分図は「残りの」のみで利用しますので、最後の最後です。
進学塾では、割合の導入で「もとにする量(基準量)」「比べる量(比較量)」「割合」の割合の三用法を学習し、混乱する生徒さんが多いですが、新カリキュラムではかなりあとになって「割合をかける」で登場です。
割合の三用法は学習しなければならない内容ですが、導入段階でやる必要は無いと思っています。
イメージできない生徒さんに「とにかく分数で割れば答えが出る!」などと指導する姿勢を排除しています。
保護者様に「割合の三用法は重要ですよね?」と聞かれることは度々ありますが、「そういう問題は出ないし、その概念は自然と身につくから放置で良い」と答えています。
個人的な意見ですが、多くの塾で推薦されています「割合の基本」のような割合の三用法が多量に載っている薄目の冊子の問題集は、やっても効果は無いと思っています。
受験算数の重鎮と思われている方にはこの比から入っていく流れに不評かもしれませんが、実を取りたいと思っています。
いままで割合で苦労していたのは、分数から入っていたからで、比から入ればそれが解消することが分かり、目から鱗が落ちるのではないかと思います。