- 2021年8月12日
会話をしているとき、相手が自分の知らない言葉を使ったとします。
大抵は面倒くさいので、スルーすると思います。
相槌を打ったり分かった顔をして、分かっている演技をしてその場を過ごします。
ところが、自分がどうしても知りたい情報や、上達したいことならば、必ず聞き直します。
「聞くは一時の恥聞かぬは一生の恥」という言葉がありますが、私はこの言葉がピンときません。
興味がないことは聞かず、興味があることは聞くだけのことです。
興味があるから聞きたいけど「聞くのは恥だから聞けない」というのは、本当は興味がないのではないでしょうか?
聞かぬは一生の恥などと考えずに、興味・関心が低かったと捉えるべきではないかと思います。
聞くということは、相手の方が詳しいということです。
「自分のレベルはこの程度ですよ」と相手に分かってもらうことも効率の良い行動です。
相手がレベルを落としてくれないのであれば、その人に聞くのを止めるだけです。
何年か前に、ある士業に相談に行ったときに、状況や聞きたいことをレポートにまとめ、「法律は無知で、このレポートに書いてあることくらいしか分かっていません」と冒頭で伝え、レポートを見せたら、「いや、よく分かっている方だよ」と答えてくれて、丁寧に説明してもらえました。
ライバルであれば手の内を晒すのはよくありませんが、相談であれば自分の知識や実力をしっかり見せることが大切だと改めて思いました。
そろそろ本題に入ります。
実は、もうかなり本題に入っています。
生徒さんが分からない問題を質問するときも一緒です。
自分はどれだけできないのかということを講師に堂々と伝えることが大切です。
集団授業を受けているときならば、ペースに影響を与えることはあまりできませんが、1対1で質問しているときならば次の言葉を積極的に使いましょう
- 分かりません
- ぼくはそれはできません
- 苦手で基礎から分かっていません
- 覚えていません
- 説明が速くて分かりません
塾講師の言ってはいけないNGワードの筆頭に「こんなのもできないの?」というものがあります。
NGワードなので、私も使わないようにしています。
しかし、私がそれを言われたならば「はい。できません。だから質問しているんです。」と返答すると思います。
できないことを負い目に感じていないので、いま身につければ良いと思っているからです。
呆れている時間が無駄だから、早く教えてくれよと思うくらいです。
よく、「どこが分からないか分からない」という言葉が使われます。
あるいは「どこが分からないか分からないから質問もできない」という言葉も聞きます。
理解できるようで理解のできない言葉です。
「全く分かりません」と同じ意味ならば、そんなまどろっこしい言葉を使わずに、質問のときにストレートに言えばいいのにと思います。
生徒さんに算数の質問を教えているときに、生徒さんが言葉を遮るケースがよくあります。
遮って良いパターンといけないパターンがあると思います。
良いパターンとは、これ以上は聞かなくてもできるという場合です。
「この後は自分の力でできます」と言えば良いです。
せっかくだからということで、こちらから伝えたいことがあれば「一言アドバイスしたいことがあるけどしようか?」などと言いますが、大抵は後は任せます。
その後、予想に反してできない場合は「やはりダメでした」と言って再度質問すれば良いです。
いけないパターンは「それは知っています」と言葉を挟む場合です。
「知っている?」と聞かれて「知っています」ならいいですが、説明中に「知っています」と言う生徒さんが多いです。
今回は静かに聴いておき、次に質問するときは「○○は大丈夫ですが、その後は分かりません」と事前に言うようにしましょう。
そうすると、いつの間にか、「どこが分からないか分からない」が解消されています。
少し分かると「分かった」と言ってしまうことにより、分かることと分からないことの線引きができないのではないでしょうか?
私の経験上は、優秀な子は気軽に「分かった」とは言わない傾向が強いです(4年生くらいならば幼くて結構言いますが)。
前述しましたが、「分からない」などの言葉は積極的に使っていいです。
その逆はとても危険です。
社会科などは適当に答えるのは難しいかもしれませんが、算数の場合は出てきている数字を適当にたしたりひいたりかけたりすれば正しく答えられる場合があります。
よく分かっていないのに、合っていればいいと思って適当に答えるのは質問をしている効果が半減です。
しっかり理解するために質問をしているのに適当に答えてそれが合っていたら理解できないままで終了してしまいます。
堂々と「分かりません」と言えばいいのです。
教える方は、もちろん「この子できないな」となります。
しかしその方が都合が良いはずです。
授業でも、配慮してくれる可能性が高いです。
「分からない」と言える・言えないはお子様の性格にもよりますが、ご家庭で「分からない」と言い辛いように育ててしまっているケースもあるかもしれません。
とは言いましても、あまりにもお子様が「分からない」を連発するとウンザリするかもしれません。
その場合は、復習の頻度を上げるなど対策を変えるしかないと思います。
言い換えますと、いまのやり方では駄目で何かしら変える必要があるということです。
「分からない」と言えることにより、そういった診断ができます。
そもそも理解できていない場合は、復習の頻度の問題ではありませんので、教え方を変えるか、教材を変えるか、その問題を先送りするかです。
基礎をしっかり固めることが大切という視点であれば、先送りがもっとも良い作戦ということもありえます。
分からないときに堂々と「分かりません」と言える性格になるように育てていくことが学力向上には大切だと思います。
思考する前から「分かりません」とすぐに答えるのもよくはありませんが、そういう子は、説明中に「分かりました」と言葉を挟む傾向があります。
前述しましたように、良くないパターンです。
そこに気をつければ「分かりません」が多くても問題はないと思います。