詰め込み教育とは?

最近、東洋経済オンラインで、詰め込み教育について書かれているコラムがあり、

Twitterでも反応がありましたので、それについて書いてみたいと思います。

 

詰め込み教育とは、どんな定義かよく分かりません。

Wikipediaには「ゆとり教育」の対語とも書いてありました。

ゆとり教育が、新しい問題を提議し、解決に向ける学習なので、

詰め込み教育は、与えられた問題に取り組む学習ということでしょうか?

 

他には、「丸暗記学習」、「テストで点数を取るための勉強」、「一問一答の練習」、「たくさん覚える学習」、「長時間学習」

あるいは、「スパルタ式」や「ヤル気のない子への恐怖学習」も含まれるのでしょうか?

 

いろいろな意味があり、定義がはっきりしないので、それの良い悪いを論評することができませんが、

今回は、丸暗記学習やたくさん覚える学習について書いてみます。

 

まず、どうして丸暗記やたくさん覚える必要があるのでしょうか?

それはテストに出題されるからです。

覚えることに意味があるとは思えませんが、鍛えられて頭が良くなりそうです。

 

テストで出題される訳は「努力した人が点数を取れないと可哀想」という感情論からきているのではないでしょうか?

「忠誠心を試す」意識を持っている出題者もいるかもしれません。

 

例えば、理科や社会で思考系の鋭い視点を持っている人ではないと点数が取れないテストがあったとします。

日頃コツコツ勉強し、努力の甲斐あってたくさん暗記してきた生徒は点数を取れずに、

普段だらしなく、勉強しているのかどうか分からないような生徒が点数が取れる場合があります。

テストの出題者は、前者の生徒に点数を取って欲しいという気持ちが働くのではないでしょうか?

そうすると、上記のテストは実施しにくくなります。

目的と手段が逆になってしまっていると言ってもいいでしょう。

 

そういうことで、テストというと覚えることがつきものになりますが、

そもそも覚えることは悪いことなのでしょうか?

 

これは覚え方によります。

「繋がりを理解して覚える」、「原因・理由を理解して覚える」、「それの類似現象を含めて覚える」

こういうことができれば、多量に覚えていくことは悪くないと思います。

それができずに、例えば、花の名前や草木の名前や星の名前だけを覚えても全く意味がありません。

プロ野球全選手の名前を覚えるくらい意味のないことです。

 

例えば算数で、葉っぱ型の0.57倍というのがあります。

正方形の57%くらいという量的なイメージを持って身につけなければ意味がありません。

食塩水の濃度は天秤を描いて解きます。

どうして天秤で解けるのか理由を言えないと意味がありません。

速さの平均は「速さをかけて、さらに2をかけて、速さの和で割る」という式で求められます。

「どうして速さをかけるの?」「どうして2をかけるの?」

こういう質問をしたときに答えられないようでは覚える意味がありません。

 

私は「理由も分からないのに覚えても意味がない」とよく言いますが、

塾講師の中には、そうでない講師が多いようです。

インターエデュでも、「塾講師は合格させることが大切だから、技を教えまくる」などと書く人もいますし、

スカイプ指導で教えている生徒さんが目新しい解き方を使っていて、

「どうしてそれでできるの?」と聞くと答えられなかったりします。

 

理由を答えられない覚え方は応用が利きませんので、将来に生きません。

中学入試が終わったら、算数は終わりだから、算数よりも数学の方が重要という意見の人がいますが、

まさに、合格のために覚えるという発想の人でしょう。

合格するために技を覚えることを重視する指導でも実際に合格力が増せばまだ良いですが、

結局、繋がりを意識する習慣がなく、応用力が付かないために合格力もつきません。

 

生徒さんの授業中に取っているノートを見れば、どういうタイプの講師かはすぐに分かりますが、

保護者はその見分けが難しいと思います。

あまりにも酷い場合には疑いの目を向けていると思いますが。

 

ダラダラ書いていってもキリがありませので、そろそろ締めようと思います。

いい覚え方をすれば、思考力もつき、応用力もつくので、覚える学習が悪いわけではありません。

良い覚え方をするには、そういった思想を持った講師に教わる必要があります。

現在、どういう講師に教わっているか分からない場合があります。

最も良いのは、対話式算数を手に取り、理解しながら覚える習慣をつけることです。

塾でどういう講師に教わっているかも分かると思います。

 

良い覚え方をして、思考力がつけば、思考力を鍛える学習が楽しくなります。

例えば、志望校が決まっていない生徒さんが麻布の問題をやってみると、

麻布を受けたくなるという現象があります。

都市伝説ではありません。

それは思考力があり、思考力を試すテストが楽しいから、その世界をもっと味わいたいからだと思います。

思考力がない生徒さんが麻布の問題を解いても難しいで終わりかもしれません。

 

覚えることが先行し、そのあと思考系の魅力にはまるというのが理想の姿です。

そういう意味での詰め込み教育ならば賛成です。

TOP