- 2023年3月24日
受験が終了した受験生とその保護者様
お疲れ様でした。
また、ほとんどの方へはおめでとうございますと言っても良いと思います。
この合格をご家庭でゆっくりしっかり噛み締めてください。
とても大変な苦労をされたことでしょう。
その貴重な体験を後輩に伝えたいという気持ちはよく分かるのですが、
間違えたアドバイスになっている場合が多々あると思っています。
よく見かけますのは、
- 〇〇の講座は効果がある
- 〇〇の教材をしっかりやれば受かる
- 〇〇の講座は受ける必要が無い
- 〇〇の教材はやる必要が無い
超難関校に合格したとなると説得力がものすごくありますが、コンピューターのプログラミングではありませんので、そんな単純なものではありません。
名監督と呼ばれる野村監督も阪神の監督時代は3年連続最下位でした。
必勝方法論というものはありません。
食べ物の栄養素にも似ているかもしれません。
いつまでも健康でいられる食事を目指しても、絶対的なものはありません。
栄養的にはケーキとか酒などは不要かもしれませんが、それが脳へ良い影響を与えて健康に繋がっているかもしれません。
塾講師は、この講座は必要か不要か、この教材は必要か不要かのご相談を受けた場合は、まず、現在の状況を詳しく伺います。
講座が良いものか、教材が良いものかというよりも、それを受け入れるキャパシティがお子様にあるかどうかが肝心です。
営業力の高い塾や個別指導ならば、相談は「鴨が葱を背負ってきた!」というようにチャンスと受け止めるかもしれませんが、まじめに相談に乗ろうとしたら、お子様の状況によってアドバイス内容が変わります。
お子様の状況によって、「これだけやれば受かります!」という場合もあれば、「これだけやれば大丈夫なんて教材はありませんよ」という場合もあります。
嘘も方便というわけではなく、お子様の学習状況からベストの選択をしているだけです。
志望校によっても少々アドバイス内容は変わりますが、保護者様が思われているほど変わりません。
このあたりは個人的見解かもしれませんが、私の場合はそうです。
「この学校ではこういう問題は出ないからやっても無駄」
そういう声は根強くあります。
正しく聞こえますが、ある程度応用までやらないと基本がしっかり身につかないのは事実です。
応用をやることによって、「こういうことだったのか!」と見えてくることがあります。
つるかめ算とか過不足算などはそういうことを実感できるのではないでしょうか。
基本だけだと、それこそ小学校の算数と同じで、問題に書いてある数字を公式にあてはめるようなスタイルになって、いつしか、算数に対する取り組みが甘くなる恐れがあります。
基本で苦戦をしているお子様に応用までやった方が基本が身につく!と言っているわけではありません。
「基本がスムーズに消化できていてもう少し背伸びできそう」
「でも志望校にはこれ以上の問題は出ない」
こういう状況ならば、ここで終わりにするよりは、もう1歩踏み込んだ方が良いという意見です。
つまり、どこまで深くやるか、バラエティに富んでやるかはすべて個々のお子様次第だと思います。
そのお子様の状況も分からないのに、一般論で、「この学校に受けるなら、こういう問題は不要!」「うちは受かったけど、こういう問題はやらなかった!」となることに違和感があるのです。
難関校ならなおさらです。
慶応中等部、女子学院、慶応普通部は入試の偏差値にくらべて問題が易しいです。
慶応中等部を目指すなら、応用無しで、基本を徹底的に!
というアドバイスは、私は怖くてできません。
基本を徹底的に勉強しても合格可能性は100%には達しないかもしれません。
応用までやった方が入試の点数が伸び、合格可能性が高まる場合もあります。
それならば、可能な限り応用まで手を付けた方が良いと思うのです。
応用をやり過ぎて4教科のバランスが乱れてしまうのはマイナス面が多いですが、そういったことも含めて個々のお子様次第によってアドバイスが異なると言えます。
競争である以上、楽して山頂に達することはないと思います。
そんな難しいのは無駄で、ピンポイントで効率よく楽して合格しよう。
秘策が「楽をすること」などという上手い話はないような気がします。
基本だけしっかりがんばって合格したという受験生も、基本を勉強しただけで応用力がつく優秀なお子様かもしれませんし、標準レベルまで完璧に解ける隙のないタイプかもしれませんし、他教科で稼ぐタイプかもしれません。
そういった状況を考慮せずに、アドバイス通りに都合よく省いていくとどうなるのでしょう。
「お子様のレベルを正しく見極め、やや背伸びしたレベルの問題演習をやる」
この基本原則が最も大切だと思います。
お子様のレベルも無視した一般論の一方通行のアドバイスや体験談は正しい勉強スタイルを邪魔する場合もあります。
「よし!○○をしっかりやれば良いんだ!」
という感想を持ってしまいましたら、危険信号だと思います。
この時期になると、毎年のようにこういうことを考えてしまいます。