通塾している4年生 ――テスト対策は“ほどほど”がちょうどいい
塾に通い始めると、必ず出てくるのがテスト。
単元ごとに行われるもの、範囲の決まっているもの、そして範囲のない「実力テスト」や「クラス分けテスト」。
特に1か月に1回程度行われるクラス分けテストは、保護者も子どもも気になるところでしょう。
「ここで頑張って上のクラスに上げたい!」と対策に熱が入る気持ちはとてもよく分かります。
でも、ここで大事なことをお伝えします。
4年生の段階では、テスト対策を頑張りすぎない方がいいのです。
テストのメリット
テストにはもちろん良い面もあります。
- 理解度の確認ができる
習った単元が定着しているかをチェックできる。 - 勉強にメリハリがつく
「テストがあるから頑張ろう」と集中できる。 - 成功体験が自信につながる
良い点を取れれば勉強が楽しくなり、次へのやる気も出る。 - 目標を立てやすい
点数や順位という明確な指標があるので、成長を実感しやすい。 - テスト慣れする
受験本番に向けて、試験環境で力を発揮する練習になる。 - 学習体力がつく
集中して長時間勉強することで、スタミナも鍛えられる。
これらは確かにメリットです。
ですから「テストは悪いものだから受ける必要はない」という話ではありません。
テストの大きなデメリット
ただし、ここからが本題です。
テストを頑張りすぎると、勉強の質そのものを下げてしまう危険性があります。
なぜかというと――
- 高得点を取るためには「解き方を覚えて当てはめる」方が手っ取り早い。
- 本質を理解するよりも、短期間で点数を稼ぐための勉強に走りやすい。
こうなると、せっかくの学習が「丸暗記」と「パターン当てはめ」に偏ってしまいます。
これは私が最も危惧している点です。
勉強の目標は「成長」と「思考力の養成」であるはず。
それを犠牲にしてまで点数を取るのは、本末転倒です。
進学塾の“論理”に注意
大手進学塾は「テストによる競争」を前提にカリキュラムを作っています。
テストで子どもたちを煽り、競争心をかき立て、「負けたくない」「上のクラスに行きたい」という気持ちを利用して学習量を引き出す。
仕組みとしては合理的ですが、子どもたちの目線は「理解」よりも「点数」へと偏ってしまいます。
そして結果が出れば「このやり方でよかったんだ」と勘違いし、浅い学習が習慣化するのです。
これは非常に怖い現象で、特殊な集団の中にいることで“麻痺”してしまうこともあります。
テストで得られるものの限界
- 「鼻が高い」 …良い点数で得意気になっても、成績が下がれば一瞬で消える。
- 「自信がつく」 …点数依存の自信なので、下がれば逆に大きく揺らぐ。
- 「上のクラスに行ける」 …かえって授業についていけず、苦しくなる可能性もある。
- 「努力が学力を高める」 …質の高い努力ができれば、という条件付き。
つまり、テストで得られるものは意外と脆いのです。
では、どう向き合えばいいのか?
結論はシンプルです。
- テストは「理解度の確認」の場と考える
- 高得点を取るために詰め込むのではなく、普段の学習の成果をそのまま出す
- 「できる範囲で取り組んでごらん」くらいの気持ちで臨む
これが4年生にとって一番健全なスタンスだと私は思います。
点数に一喜一憂する必要はありません。
むしろ「質の高い学習を続けられているか」を見守ることが、受験の本当の成功につながります。
まとめ
テストにはメリットもありますが、高得点を目標にすると大きな落とし穴が待っています。
4年生の時期は、テストの点数やクラスの上下に振り回されず、
- 正しい学び方を定着させる
- 理解を深める
- 思考力を鍛える
この3つを意識することが何より大切です。
テストはあくまで「通過点」。
点数に振り回されず、地に足をつけて学んでいくことこそ、後に本物の実力へとつながります。
大切なことは「分かる」まで立ち止まる習慣
テスト対策のために「とりあえず覚えておこう」と流すのではなく、なぜそうなるのかを納得して進むことが大切です。
「分からないところは一緒に考える」「説明できるまで確認する」という姿勢を日常にしましょう。
4年生の学習で大切なのは、テスト対策に一喜一憂することではありません。
一にも二にも理解重視です。
それができれば、必ず5年生以降の伸びにつながります。
ゴールラインを見誤らないようにして欲しいと願っております。
