場合の数の基礎とは

基礎とは

一般的に「基礎=易しい問題」で、「基礎はできるんだけど…」と言うと、簡単な問題はできるという意味になります。

しかし、「礎」という文字から、私は、応用に通じる学力と考えています。

解き方をかろうじて覚えて易しい問題を解けたとしても、応用には全く歯が立ちません。

簡単な問題ではなく、応用問題が解けるためには、このような力をつける必要があるというものを基礎と位置づけ、基礎力をしっかり固めることをお勧めします。

積の法則

基礎の最も重要な根幹の部分は、「和の法則」「積の法則」を間違えないことです。

よく、「和の法則と積の法則の区別がつかない」という声を聞きます。

話し手よりも、それを聞く私の方がゾッとする言葉です。

易しめの典型題で説明してみます。

父母、兄、弟、妹が横一列に並ぶとき、兄か弟か妹が真ん中になるのは何通り?

条件のある並べる問題です。

○○兄○○と書き、4つの○に入る人は4×3×2×1=24通りになります。

そのあとです。

「真ん中は兄じゃなくても、弟でも妹でもいいよ」と言います。

すると、2つ追加ということで、24+2=26通りにしてしまう生徒さんがいるのです。

兄のときが24通りだから、弟でも妹でも24通りあると考えて24×3=72通りになります。

24+2=26ではなく、24×3=72なので、和の法則ではなく、積の法則だったわけです。

しかし、この積の法則という言葉を覚えても意味がありませんし、「これは積の法則の問題」という捉え方は、お先真っ暗といっても過言ではありません。

兄のときも弟のときも妹のときも24通りあるから、24+24+24で、24×3=72通りとイメージする必要がありますが、このようなイメージを無視する恐れがあるのが、積の法則です。

72通りの書き出しは現実的ではありませんが、十分に書き出しの練習をやっていたら、兄の場合をたくさん書いて、次に弟は?となったときに「これ、兄と同じじゃん!書かないでいいよね!」となると思います。

弟と妹をそれぞれ省いている意識が強いと24×3=72と自然と求められると思います。

こういう感覚無しに、3人だから3倍では、次に繋がりません。

なぜ3倍するかをイメージすることが重要ですが、十分な書き出しの練習をしていると有効です。

型を意識すると場合の数の応用に通用する

場合の数の説明するときに、私はよく「型」という言葉を使います。

上の問題よりは難しいですが、シンプルな典型題で考えてみます。

サイコロを4回投げて、目の和が8になる目の出方は何通り?

4個の和が8になるのは、1115,1124,1133,1223,2222の5通りあります。

これを、AAAA型が2222、AAAB型が1115,AABB型が1133,AABC型が1124と1223というように型で分類します。

AやBは数字ではありませんので、AAAA型を書いたら、BBBB型を書いてはいけません。

しかし、ここは大人が思うほど混乱する子はいません。

  • AAAA型は並び替えられないので1通り
  • AAAB型はBの位置を考えて4通り
  • AABB型はAを4つの位置から2つ選ぶので6通り
  • AABC型は、AABB型の派生型で、BCを入れ替えられるので12通り

と考えて1+4+6+12×2=35通りとなります。

6年生後期にでもなれば、7C3=35通りと瞬殺で求める問題ですが、いまのような「型を利用する」練習を4~5年生の間にしっかりやりたいのです。

3~4年生の間に十分な書き出し練習を積んでいると、この型に分けるという行為がとても有り難い施策に感じると思います。

いままで書いてきたものが、型を意識することで、省けるし、計算も利用できるからです。

計算が義務ではなく、上手く考えるための道具と実感できます。

人間、お得なものとか楽なものを見ると、心が躍り吸収力が上がります。

しかし、その心の踊り方をコントロールすることは、変な薬でも使わない限り、できません。

それまでに十分苦労してきた子が、「このやり方、最高!」と心が躍るのではないかと思います。

型を意識することは、有効な場合分けをしているということで、難しい場合の数の問題になったときに威力を発揮します。

ランダムに書き出すと大変 → 解説などを見て、書き出す順番を型ごとに分けるようになる

この流れができていると、型を意識して解く下地ができます。

場合の数が苦手とならないように

実感なく解き方を身につけていくことを、覚える算数と呼んでいますが、特に場合の数はそれでは通用しません。

よく、場合の数は難しいという声を聞きますが、理由は簡単です。

イメージが湧かないのに、なんとなく計算して合っていたりするから、地に足がついていない状態が普通だと思い込み、何が何だか得体の分からない単元だと思うからです。

席の法則を実感することと、型で分けて書き出していく習慣を身につけることで、イメージが湧いていきます。

3~4年生の間の書き出しや、4年生以降、高度な問題になったときに、解説を見て「こういう型で分ければ良いのか!」と納得することで上達していくと思います。

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