- 2022年7月20日
Twitterを見ていますと、この時期、「夏休みは10時間×40日で、400時間の時間がある!」と意気込んでいる方が多いです。
この400時間を有効に使うのはとても難しいですが、有効に使えたら飛躍します。
このブログにも何回か書きましたが、私が塾講師時代に、夏に最も伸びた子は、5年生で、夏期講習は全休で、世界一周旅行をしていた子でした。
どのように勉強をしていたのかはまるで分かりませんが、専属家庭教師をつけてクルーズで過ごしたそうです。
5年生の7月までは、6クラス中1番か2番目にいることが多く、「まずまずできるけど、あまり目立たない子」でした。
夏が終わり9月からは、思考力が抜きん出て難問に強くなり、6年生の最後まで、常に算数は1位か2位を維持して、開成の合格可能性100%とスタッフもクラスメイトも認める中で、自然に合格しました。
400時間のうち、遊ぶ時間も十分あったと思いますが、良い勉強ができたのだと思います。
まず、夏休みの基本姿勢としては、6年生は塾にいる時間が長いので、「塾と心中する姿勢」で行くか、「塾とは距離を少しあける」かです。
両者の違いは、家での勉強の違いです。
塾で過ごす時間は、全力というのは両者共通しています。
家での勉強の違いとは、復習にどれだけ時間を割くかです。
例えば、家で算数を2時間やるとしたら、そのうち、何%を復習にあてるかです。
0~100%まで自由に決められます。
0%と見ると、狂気の沙汰のように思えるかもしれませんが、「塾の学習は塾で完結!」という作戦は案外悪くありません。
たびたび書いていますが、復習の質が低く伸び悩み、6年生の9月から復習を減らして、その分、過去問演習をしたら学力がグングン伸びるという子がいます。
そういうタイプの子は、夏休みも復習0%の方が上手く行くと思います。
0~100%のどこにするかは、保護者の采配次第です。
当たるか外れるかは分かりません。
結果として当たったか外れたかも分からない場合もあります。
比較実験ができないからです。
大きく伸びた場合は、作戦が当たったと思うと思います。
成績ダウンだと失敗と思ってしまうかもしれません。
夏が終わってからでも、いくらでも立て直せますので、この采配ですべてが決まるわけではありません。
夏次第のような煽り方をする文章はときどき見ますが。
塾によっては、成績による席替えどころか、クラス替えまで頻繁にして、復習重視で行く体制を強制するようなところもあります。
それでも0%を貫くことはできます。
プロ野球の名選手の落合博満氏は、レギュラーになる前のとき、コーチに「僕のことは放っておいてください。打てなければクビで良いですから」と言って、まわりに流されず、自分で良いと思った方向でバッティング練習に取り組んだそうです。
落合シンパの私にはとても有名な逸話ですが、どうなのでしょう。
そして、その結果が、3冠王3回などの輝かしい実績に繋がっています。
100%復習と決めた場合は、計画も何もありません。
復習をひたすらします。
75%と決めましたら、学習時間の3/4を、まず復習時間に充て、どんな途中でも打ち切って、そこから必要な学習にします。
0%と決めましたら、復習は無しにして、必要な学習にします。
必要な学習というのは、志望校の過去問に対して、いま弱いものです。
塾に行っていなければ、過去問演習や総合演習などもできますが、通塾していましたら、そういう学習まで取り入れるのはできないので、単元を決めて、その単元を集中して学習します。
単元といいましても、場合の数や平面図形と比や立体図形のように大きく括られるものから、時計算や年令算のように細かいものまであります。
当然、大きく括られるものは、いろいろな種類の問題がありますので、マスターするというのは難しいです。
まず、細かいものから学習を進めます。
マスターできたら次に移ります。
何時間勉強したらマスターできるかは分かりませんので、計画を立てることはできません。
細かい単元が終わったら、大きく括られるものに移ります。
大きく括られるものとは、速さ、比と割合、平面図形と比、立体図形、図形の移動、数の性質、規則性、場合の数あたりです。
志望校の過去問に対して、既にかなりできそうなものは省きます。
残った単元を1週間ずつ取り組みます。
1週間でマスターするのは難しいので、マスターしたかどうかではなく、1週間たったら、次に進みます。
これを計画とも呼べますが、細かい単元がどれくらいで終わるかは分かりませんので、この時期に計画を立てるのは難しいと思います。
計画というよりも、必要な学習は、細かい単元はマスターできるまで続け、それが終わったら、大きな重要単元を1週間ずつというくらいのファジーな捉え方で学習していくと良いと思います。