なぜ、塾教材の解説はわかりにくいのか

少々過激なタイトルをつけましたが、以下に挙げます理由は、どれも納得できるものだと思います。

  1. ページ数が増える、配布用紙が増える
  2. 塾はそもそも授業が命なので、良い解説を目指していない
  3. 執筆する講師が生徒の実情を分かっていない
  4. まだ教えていないことは使わない
  5. 数学のルールに則っている

主にこの5点の理由になると思います。

順に見ていきます。

 

①は経費の面、見やすさを重視しています。

見やすさというのは、1問ごとの解説の見やすさではなく、今回は、このプリント1枚に解説をすべて載せていますというような意味です。

紙の解説ではなくて、パソコンやタブレットに表示するスタイルならば、経費も関係ありませんし、コンパクトにまとめる必要もありませんので、ゆくゆくはインターネットを使って良い解説が配付されるかもしれません。

大手塾から私にオファーがあれば喜んで良い解説を書きますが。。

 

②は塾講師は、解説は無視して、自分の教えやすい解き方で教えています。

自塾の解説が分かりにくくても、黙って、スルーするだけです。

保護者が、塾で配付されている解説を子どもにしっかり教え込もうとしたときに、「塾で教わったやり方と違う」と言われるケースはよくあることだと思います。

正直に書くと、塾は解説が無いとクレームがくるから配っているだけという扱いに近いです。

 

③は解説を書く講師は塾の中枢にいます。

教えている生徒は、トップレベルだと思います。

トップレベルの生徒は、どんな教え方をしても吸収できます。

つまり、自分の教え方はパーフェクトだと思い込みやすいです。

多くの塾生が納得できる分かりやすい解説がどういうものかという感覚がずれている恐れがあります。

 

今回のブログは、この④を書きたいので書きました。

例えば、「三平方の定理を使えば簡単に解ける問題」や「三角形の合同条件を使って解く問題」、あるいは比がまだ出てきていないときに「比を使えば簡単な問題」を、算数の範囲ではないから、比をまだ使えないからという理由で、厳しいレギュレーションを設けて、既知の解法を利用して芸術的に解説を書くとします。

講師視点で見ると「なるほど!凄い考え方だ!頭が柔らかいな~」と感心してしまいますが、生徒視点ではどうでしょう?

混乱するだけです。

レギュレーションを守ることよりも、生徒が理解して吸収できることが優先というのが、私の考え方ですが、理系の人間はそのあたりはかなり頑固な人が多く、そこに芸術性を見出しているかのような解説を書きます。

私はスカイプ指導でどう思われているのか分かりませんが、「規則よりも、分かりやすく、身につくことを優先している」と宣言しています。

個々による見解の違いが解説に表れますが、レギュレーションを守った解説は、子どもでは吸収するのがかなり手強いことは確かです。

 

⑤も④に近いです。

数学では分からないところは記号を使いますが、それを算数でも守ったら、記号ばかりで混乱するような解説になる恐れがあります。

記号を使うよりも、100円と決めてみたり、個数を5個と決めてみたりした方がイメージが湧いて理解しやすいことが多いですが、数学的には、それはアウトです。

マル100と置くというのはありでも100円と決めるというのは数学ルールに反します。

記号を使わなくても数学ルールに則っていくと、割合分数ばかりで、何をしているのか、かなりの算数スキルがないと見えないような表現も多いです。

算数の解説は数学のような厳格さは必要がないと個人的には思っています。

所詮、算数は日常のものを計算式にして求めていく科目です。

非日常の抽象的な数字の世界を操る数学ではありません。

受験算数というのは、数学でもありませんし、普通の算数でもありません。

つまり、治外法権のような特殊な科目です。

数学のルールよりも、分かりやすさを優先した方が良いと思いますが、算数は数学の素と考えて、数学ルールに当てはめるという考えも間違っているわけではありません。

といいますか、そちらの方が正解だと思います。

正解か否かではなく、分かりやすい、納得しやすいものを書くべきと私は考えていますが、それも個人の見解によるものだと思います。

 

以上のように、分かりやすい解説を書こう!としても、いろいろな障壁があって、そういう解説が書けないというのが、中学受験の算数だと思います。

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