- 2021年7月22日
なぜ基本問題を解くのか
問題集などでは、基本問題・応用問題という分類で問題が並んでいます。
基本問題は易しい問題という印象を持ちやすいです。
では、どうして基本問題を解くのでしょう?
応用問題が解けない子は、必然的に基本問題に取り組みます。
力があって応用問題も解ける子でも、あっという間に基本問題を終わらせますので、基本問題を取り組むデメリットはないということで、取り組んでいると思います。
目的を挙げるとしたら、易しい問題は「たくさん解いて忘れにくくするため」「スピードを鍛えるため」くらいだと思います。
基本問題≠基礎問題
基本と基礎の違いはあるのでしょうか。
基本問題はよく聞きますが、基礎問題はそれほど聞かない気がします。
私の定義の中で、基本と基礎は同じです。
基本問題が易しい問題ということではありません。
「基本」は本質の基となるという意味ではないでしょうか?
本質の基となる問題が易しい問題とは、完全にイコールでは無いと思います。
「基礎」にしても、この先の学習の礎となるという意味で基本と同じような意味だと思います。
この辺りは、個人的な見解によるものなので、何が正解というものはないと思います。
基本問題を易しい問題と位置付けている人がいても、それはそれで良いと思います。
基本は応用の礎
私は、基本とは応用の礎になるものと位置付けています。
応用に必要なものは「本質を知ること」であることから、基本も基礎も文字から、そういう意味になります。
易しい問題を素速く正解に出来ることが応用の礎になるとは限りません。
易しい問題を雑な解き方で解いて、そのレベルだからなんとかできるという場合は基本を固めたとは言い難いです。
ぎりぎり易しい問題は対応できるというだけで、応用の礎にはなっていません。
基本を、応用の礎になるという基準で捉えるならば、応用問題に活用できる身に付け方をしていることがポイントです。
解き方の理由が重要
活用できるかどうかは、言葉で解き方を理由とともに言えるかどうかです。
解き方を言ってもらうというだけでは、問題点を見逃す恐れがあります。
理由が大切です。
例えば下のような問題があります。
家から学校まで、兄は100m/分で行き、弟は80m/分で行き、通学時間の差は10分です。家から学校までの距離は何mですか?
典型題
これは、速さの比が5:4で、時間の比が4:5になり、時間の差が10分ということから、兄は40分、弟は50分かかると考え、距離は、兄で考えると100×40=4000mとなります。
この問題のときに「兄と弟は進む距離が同じときは、速さの比と時間の比は逆比になるから時間の比は4;5で…」、というように「距離が同じとき」という理由を挟むことで、応用問題への活用につながります。
定番の流れの問題で、先に家を出た人が忘れ物をして戻り、後から追いかけた人と出会うという問題があります。
これは図をかいて、同じ道を進む速さが異なる場合に、時間の比に変えて解くことが鉄則ですが、なかなかそれをさっと使える人が少ないです。
説明を聞けば、「なあんだ!逆比ですね!」となりますが、説明を聞く前に自力でそれを使うことが大切です。
そのときに、上記のような、進む距離が同じときは、速さの比と時間の比が逆比になるという基礎が盤石に身についていたら、自ら使える可能性が高まります。
逆の言い方もできます。
速さが2つ書いてあると、勝手に逆比にして間違える生徒さんもいます。
「距離が同じときは」と毎回いう癖のついている生徒さんはそういう間違えがないような気がします。
細かいことのような気もしますが、一言、理由を添えることは思いの外、重要です。
理由をしっかり言えることがベストですが、それがなかなか出来ない場合は、理由をひとこと添える習慣をつけると良いと思います。
基本は応用につながる
基礎を固めることは、必ず応用につながります。
応用につなげるために基礎に取り組んでいると言っても良いです。
易しい問題だけ解いて「基礎はできる」と評価するのではなく、理由を言えることができるから応用につながると捉えると良いと思います。
冒頭に戻りますが、基本問題の演習は「たくさん解いて忘れにくくするため」「スピードを鍛えるため」に限定せず、応用につなげるためのものして、丁寧に理由を一言添える学習をお勧めいたします。