- 2018年4月10日
Twitterで次の問題を見ました。
今日は日曜日で、10日後は水曜日である。100日後および100万日後はそれぞれ何曜日か、理由とともに答えよ。(2018琉球大)
第一印象は、これ、大学入試の問題?という感想でした。
つぶやいている人が数人いましたが、面白くない、興味がないという意見のようでした。
高校生ならば、どんな感想でも良いと思います。
受験生は、目先のことで視野が狭くなるので仕方がありません。
数学の指導者なら、100万日後の曜日なんて計算すれば簡単に求められるし、遠い未来の曜日を知っても面白くないし興味も無いという感想になるとしたら、とても残念です。
振り返ってみますと、私が、小中高時代に算数数学が好きだったのは、問題が解けるからです。
当時は、おそらく、理科や社会は知ってれば解ける科目だから、得意でも大したことがないと考えていたと思います。
英語も理社の感覚に近かったと思います。
国語は、著者や作問者を読解することに興味が無かったと思います。
それに対して、算数・数学は解けたときの優越感は他の科目と比較にならないほど大きく、難問になればなるほど「自分だから解けた」という、いまでいう自己肯定感、自己承認欲求、あるいは選民意識も強かったのではと思います。
いま思えば、若気の至りな部分もありますが、算数・数学が好きな人は、大抵、そんな感じだと思います。
そして、問題は面白くてもつまらなくても興味の無いことでも何でも良いのです。
エレガントでスマートな解き方を発見することが大切なのです。
現在、難関中学の初見の問題を解いても、面白いと感じるのは10%にも満たないです。
面白い問題と面白くない問題のどちらが良いかと聞かれましたら、それは面白い問題と答えますが、エレガントでスマートな解き方を見つけられたかの方がその何倍も重要です。
その視点で琉球大の問題を見ます。
1÷7=0.14285714……と続く循環小数というのは、常識と呼べるものですので、それを利用したくなります。
100÷7=14.2……
1000000÷7=142857.1……
- 小数部分が2とは、あまりが2になっているので、火曜日
- 小数部分が1とは、あまりが1になっているので、月曜日
というのが、私の中では最もエレガントでスマートな解き方で、それを採用します。
しかし、単純に割っただけなので、物足りないです。
問題文には「理由を書きなさい」とあるので、これでは出題者の期待にも応えてはいません。
2乗、3乗で考えてみます。
100=10×10です。
出題者は10日後を水曜日と表記しているので、それを使いたいです。
10=7+3から、100=(7+3)×(7+3)
これを計算すると、7の倍数+9になるはずです(中一レベルの数学の基礎知識です)。
9は7で割ってあまりが2なので、火曜日
1000000=100×100×100です。
いま100日後は火曜日と求めたので、1000000=(7の倍数+2)×(7の倍数+2)×(7の倍数+2)
これを計算すると、7の倍数+8になるはずです(高一レベルの数学の基礎知識です)。
8は7で割ってあまりが1なので、月曜日
100万は、100の3乗と考えるところが、エレガントでスマートではないですか?
高校数学をすっかり忘れてしまっていますので、これを思いつくことがどの程度のことか分かりませんが、他人と比べるのではなければ、これに気づいた自分は素晴らしい!となり、これが数学の面白さです。
このように考えると、やはり大学入試の問題です。
100万日後の曜日など全く興味がありませんが、100万は100の3乗と気づくところに面白さを感じるのです。
言い換えますと、そのアイデアを引き出せるかどうかが問われている問題で、数学の指導者は、その部分について評価しなくてはならないと思います。
そもそも地球がいつ誕生したかとか、太陽から地球までの距離とか、100年以上先の日食の日などの天文学は、知っても面白くもなんともありません。
それを求めることができる知力を見せつけられていると解釈するのが自然です。
長い長い前振りでしたが、いよいよ本題に入ります。
このブログは、琉球大の問題に関する感想が目的ではありません。
100万を100の3乗と気づくアイデアが出るようでしたら、自信もあり、学力も高いといえます(小学生の範囲ではないので、小学生の話ではありません)。
そのようなアイデアは、自分でアイデアを出して、それが成功する体験をどれくらい積めるかです。
典型題をいくら解いても、そういう体験はできないです。
「アイデアが出る」と「自信がある」は同じような意味だと考えてもいいです。
偏差値がいくつ以上なら算数に自信があるということではありません。
偏差値が高くても、それは、算数に自信があるのではなく、高い偏差値を取る自信があるというだけです。
算数に自信がついていない状態で、解法を理解して覚えて高偏差値を取っていても、やがて条件が増えたり複数の概念が混合したりして難度が上がり、それに対応できないと、偏差値は降下し、過去の栄光という話になります。
算数に自信をつけるためには、良いアイデアを出す訓練ということなので、とにかく思考系の問題を解くことが大切です。
算数が苦手で、思考系の問題なんてとんでもないという方がいらっしゃいましたら、レベルを下げた思考系の問題をやれば良いだけのことです。
たいてい、教材に学年名が付いていますが、それは目安で、スポーツ大会や電車賃や遊園地の年令制限とはまるで別物です。
テンションが下がるならば、学年名を消して1枚1問に編集にすれば大丈夫です。
今回は教材お勧めブログではありませんが、当教材の小3グランプリ算数、小4グランプリ算数は思考系で、教材には学年名は書いていませんし、1枚ずつ切り取って使えば、易しいか難しいかも分かりません。
そういう教材で、発見して解けたという体験を積むことが、自信をつけるためには欠かせません。
算数が得意な人は、そういうものを用意しなくても、いろいろな場面で、発見して解く体験ができています。
得意ではない人は、そのような場をつくらないとなかなか体験できないと思います。
算数が得意ではないから必死にパターン問題を身につけて、テストでそれなりの点数を取って、それなりの偏差値を取ってという生徒さんがとても多いと思いますが、正直に申しまして、とても可哀想です。
それよりも自信をつけることの方がはるかに重要で、長い目で見てプラスです。
繰り返しになりますが、点数を取ってもクラスが上がっても自信は生まれません。
極論では無く、サピックスのα1のクラスで授業をすると、その感覚を肌で体験できます。
最近、解説で流れを作るフロー解説を書く機会が多いですが、スカイプ指導では次のような流れに行ける生徒さんは、算数に自信がつき、得意になります。
アイデアを言う→駄目出しされる→再度アイデアを言う→駄目出しされる→みたびアイデアを言う→ベストの考え方を聞く
厳しい書き方になりますが、1度や2度駄目出しされて、へこむようだと伸びません。
1回だけ言って、駄目なら「分かりません」と答える生徒さんは、算数云々の前に意識改革が先です。
3回はアイデアを出して、それと模範的な考え方との違いを実感して、その距離感を徐々に近づけて、だんだんアイデアが良くなります。
私の経験した中では、誰でも距離感は近づきます。
アイデアを3回出せるかどうかが肝です。
もう聞いていられないというレベルになるまでアイデアを出し続けて、その後、理にかなった考え方を聞いて納得する体制をつくることが重要です。