売買損益算大丈夫ですか?

仕入れて定価をつけて割り引いて売ったときの売上や利益を考える単元です。

どの塾でも割合や相当算を学習してから学習します。

食塩水の濃度とほぼ同時期に学習します。

食塩水の濃度は、食塩水、食塩、水、濃度、蒸発くらいしか言葉がないので、シンプルで分かりやすいと思います。

それに対して売買損益算は、原価、仕入れ値、定価、売値、利益、利益率、利益を見込んで、損、割引、割引率、売上高というように言葉が多く、分かりにくかったり似ているものや同じものもあります。

買い物に慣れて経済の仕組みの分かっている大人ならば、それほど難しくないことですが、小学生にとってはとてもハードルが高いです。

サピックス、四谷大塚、日能研の教材を見くらべました。

いずれも5年生の前期に学習します。

驚いて腰を抜かしてしまいました。

どの塾も1週間で学習します。

ちなみに対話式算数も推奨時期は5年生の前期ですが、3週間かけます。

しかし、大手塾も夏期講習などで復習するために、結局は3週間くらいかけると思います。

始める時期が同じで、終わる時期も同じで、難関校に対応という共通点がありますので、各単元のトータル学習量はそれほど違いはありません。

しかし、私にとっては、トータルで同じ量になったとしても、導入を1週間で終わらせることがありえないことだと思っています。

対話式算数の3週間は、1週目は、原価・定価・売価の関係でほぼ終わりです。

2週目は、原価を①、定価を①にする問題を扱います。

※2017年版までは1週目に原価を①にする問題が入っていて、2週目が軽かったので、2018年版は原価を①にする問題は2週目にまわそうか検討中です。

3週目は個数が登場します。

売買損益算と抜群の相性のつるかめ算もここで扱います。

いままで授業をしてきて、この3部作でないと身につかないと思い込んでいます。

大手塾の教材を見ますと、1週間の中で、この3つを詰め込んでいます。

気の効いた講師ならば、これ以降は次回にまわすというように対処しますが、週テストなどありますと、その講師のアドバイスを穏やかに聞けないのではないでしょうか?

どの塾でも上位クラスはサラッと個数まで一気に授業で扱い、家でしっかり復習して全部身につけるようにということにしていると思います。

塾講師は家での苦労は知りませんので、それでもう何年もやっているけど問題はなしととらえていると思います。

大手塾の講師に「そんなの無理じゃない?」と指摘しようものなら「甘すぎる!」と返ってくるでしょう。

サピックスで働いていた私は前職の職場に転職して、そのあたりは先輩の講師によく怒られました。

当時の責任者に「サピックスは良いよな~」と嫌味をたびたび言われました。

サピックスで麻痺していた感覚を修正できたと思っています。

もちろん「サピックスは良いよな~」の部分は各ご家庭にしわ寄せがいっています。

適正量の3倍の内容を与えられたときに、ある程度しっかり身につけなければ、いくら夏期講習でくり返し出てきても意味がありません。

夏期講習のクラスで、身についている人と身についていない人がいたら、講師はどうするでしょう?

ある程度、身についている人を対象に授業をして、身についていない人には「質問にきなさい」と処理して終わりでしょう。

家でのフォロー体制が問われることになります。

とても厳しいノルマです。

なぜ、大手塾が5年生前期に適正量の3倍を学習し、夏に復習するかの理由はお分かりでしょうか?

それは、講習では新しいことを学習しないという伝統があるからです。

その伝統は、不具合があっても直せないようです。

サピックスの場合は、一部の単元は講習で初めて教わり、伝統というしがらみがありませんので、工夫すればカリキュラムを変えることは可能ですが、現状でご家庭の力も含めてなんとかこなしていますので、変える必要はないと考えているのでしょう。

正しい身につけ方は次の流れになります。

  1. 「原価・定価」「定価・売値」の関係を線分図で理解する
  2. 「原価・定価」「定価・売値」の関係を式で解けるようにする
  3. 「原価・定価・売値」の関係を式で解けるようにする
  4. 「原価・定価・売値」の関係を原価を①にして解けるようにする
  5. 「個数・売上」が出てくる問題を解けるようにする
  6. いろいろな問題を解けるようにする

この流れになりますが、教える流派によってはいきなり原価や定価を①にするかもしれませんが、それは混乱のもとです。

1回目の授業で1~3、2回目の授業で4、3回目の授業で5、ゆくゆく6という流れが自然だと思います。

時間に余裕があれば、「1・2」と「3」を分けて4週間やりたいくらいです。

大手塾で損益算が苦手という方は、言葉が難しいからとか、売買の根本が分からないほど幼いからと思われていると思います。

原因はその通りですが、それを解消できるカリキュラムで学習していないからです。

算数教材塾・探求では会員様専用無料教材として、「2のみの教材」、「3のみの教材」をご用意いたしました。

本当は希望者全員に無料としたいところですが、会員様のことを考慮して、算数教材塾・探求でいままでトータル1万円以上ご購入くださった方を対象とします。

頑張って既に乗り越えた方は良いですが、つまずいている方は、まず1、そして2、そして3というように1つ1つマスターしていくことをお勧めします。

大手塾の教材を個人的視点で見た感想を書きます。

サピックスは最悪です。

「本当に分かっているんだろうな?」と追及するような意地の悪い問題が並びます。

健康体の子なら良いですが、弱っている子は負けてしまうでしょう。

四谷大塚はサピックスほど乱暴ではありませんが、いろいろな問題をランダムに与え、「分かっていれば混乱しないね?」という感じです。

日能研は「このコーナーはすべて○○」というように、しっかり分けてくれています。

上記の番号に該当するコーナーを選んで解くようにすれば混乱せずに身につきます。

取捨選択さえすれば、売買損益算が身につきやすいのは断トツで日能研です。

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