- 2016年7月20日
通塾しても親が子に算数をまったく教えないというケースは少ないでしょう。
どのくらい関わるかはご家庭のスタイルによりますが、小学校の算数とはまったくレベルが違うので、分からないことがあることに戸惑う子が親に質問するというのは自然です。
そのときの教え方がとても重要です。
算数らしく教えた方が良いとか、塾で教わった通りに教えた方が良いとか、技術的な部分も重要ですが、接する心構えが重要です。
解き方が身につくように、1から手取り足取り教え込むという方針もありますが、その方法だと短期的にはいいけど、しっかり身につかないのではないかと思っています。
塾で教わって分かった気になったけど実は身につかなかった問題ならば、家で手取り足取り教えても身につけるのは難しいかもしれません。
何回も教えているのに身につかないなと思うことは多々あると思います。
最近、下剋上受験ドラマを見ていますが、中卒というキーワードには別にひっかかりませんが、教えるのが未経験な親が、4教科全部を1年半だけ指導して桜蔭合格を目指して頑張っているところに引っかかります。
教えることはそんな容易いことではありません。
理解させるくらいならばそれほど難しくはないと思いますが、難関校に対応できる思考力をつけることはもとより、忘れないように定着させることも簡単ではありません。
それならば、しっかり身につくように教え込むことを目指すのではなく、力をつけることを目指してもいいのではと思います。
それは、できるだけ教えずに、お子様の力で解くように指南するスタイルです。
その単元が身につく即効性のある学習ではないかもしれませんが、算数の力をつけます。
大切なことは、
- 難しい問題は避ける
- 教えるときは一言
- 何回もチャレンジさせる
この3点です。
一言ヒントのようなキーワードを伝えて、分かるところまで考えさせて、また分からなくなったら、またヒントを与えるといった流れです。
誤答のときは、「不正解!○○のあたりが違うのかな」くらいに留めておきます。
これだけのことです。
教えるスキルがないと、最良のヒントが言えないかもしれませんが、この流れでいけば、それなりの形になります。
解ける問題が増えなくても、力がつくので長い目で見てプラスですし、なによりも初見の問題に太刀打ちできる力が身につきます。
できる子は、こういう学習を無意識にしているともいえます。
数学が得意なお父様のご子息で、伸びる子と伸びない子がいます。
伸びない子は、教え込むことがマイナスに働いている可能性があります。
伸びる子は、父親が解く楽しみを子に味わってもらう意識があるのではないでしょうか。
塾講師時代に、クラスの生徒さんを7人ほどピックアップし、問題を与え、できるまでくり返すという再チャレンジ式(当時流行った言葉なので)で取り組んだところ、とても力がついた実感があります。
3年生の学習も基本的にそういう流れで楽しく授業を行いました。
つまり、3~6年生の学年を問わずに、有効な学習だったと思います。
教える場合は、上手く教えなければなりませんが、答案を見てヒントをいうのはそれほど難しくはありません。
模範解答と見くらべて、「解説では表が書いてあるぞ」とか「線分図が少し違うぞ」このレベルで良いと思います。
一言のアドバイスを聞くと、情報過多にはならず、そこから派生して自分自身で考えることにつながります。
1問に時間がかかって効率が悪そうですが、そうではありません。
大切で省いてはいけない勉強です。
普段あまりテレビで大リーガーのイチローを見ることがありませんが、YouTubeでイチローと稲葉の対談を見たとき、イチローが「無駄がなければ深みが出ない」と言っていましたが、まさに算数の学習と同じです。
無駄のない効率の良い学習は実は学習ではないのです。
イチローは「合理的な考え方は嫌い」と言っていましたが、合理的に考えられる力をつけるために算数に取り組んでいると言ってもいいくらいなので、そこは素直に頷けませんが、解きながら失敗をしていく過程で力をつけるのはスポーツも算数も同じということでしょう。
「再チャレンジが大切」という意識で接していくことをお勧めいたします。