- 2021年10月29日
塾に行くと学力別クラス編成になります。
公立小学校でも部分的に取り入れている地区もあるようですが、
塾のクラス昇降のプレッシャーは凄まじいものです。
中学受験に慣れていないと、上位クラスで授業を受けてこそ塾に通う意味があると考える人もいるようです。
塾講師時代、入塾テストで偏差値50くらいの保護者から、
「自宅で鍛えて上位クラスで入れるようになったら入塾します」
とたびたび言われたことがあります。
それはあきらかに間違っています。
仮に筑駒志望でも入塾段階では偏差値50ということがありえます。
この偏差値ならば受験勉強をしないと決断するのは早いです。
また家でしっかりした学習ができるのならば良いですが(当時は対話式算数もありませんでしたし)、
次に受けると大抵は下がります。
「やはり塾に行かないとダメですね」
と言って不本意なクラスで入塾というケースもよくありました。
クラスについては、いろいろな角度から切り込むことができるので、焦点がぼやけてしまう恐れがあります。
そこで、今回のブログでは、
○○中に受かるためには、△△クラスにいないといけないんだけど、その基準に達せず低いクラスにいるという方を対象にします。
タイトル通りです。
書きやすいように、X中学に受かるためには、Aクラスに入りたいんだけど、Bクラスにいるとします。
まず、基本前提として、Aクラスにいる人と引き離されるばかりというイメージを持ちやすいですが、それは誤解です。
塾のクラス編成数にもよりますが、
Aクラスの平均とBクラスの上位が同じで、Aクラスの下位とBクラスの平均が同じで、Bクラスの平均とその下のCクラスの上位が同じということにします。
巨大な教室でなければだいたいこんな感じになっていると思います。
講師の力量に法外な差がある場合は話が変わりますが、
普通は常にこの状態をキープします。
もしもAクラスにいる人と引き離されているのであれば、
やがてはAクラスの下位とBクラスの上位が同じ、さらに進むと、まったく交わり無しになってしまいます。
しかしこんなことにはなりません。
つまり、X中がAクラスの中堅でも受かりやすい学校であれば、常にBクラスの上位にいれば射程圏内だと言えます。
とは言っても、徐々にBクラスの中堅から上位にランクアップというのは難しくなりますので、
その意味では引き離されるというか、成績固定という状態になっていきます。
学年によっても受け止め方が異なります。
まず4・5年生の話です。
4年生と5年生はほぼ同じと言ってもいいです。
塾講師からは決して聞くことはできませんが、クラス内では上位にいるべきです。
上位もいれば下位もいるので、下位と呼ばれるのはクラスの3割くらいだと思います。
その人たちには惨いですが、コスパがとても悪いです。
塾で上位にいないと意味がないというのは、滅茶苦茶なイメージに過ぎませんが、
(インターエデュの中では正論みたいですが)
クラスで上位にいないと意味がないというのは真です。
「下のクラスに下げて欲しい」と言ってくる保護者もいますが、ほとんどの場合は賢い保護者です。
4・5年生の間はAクラスに入りたいなと思っていても、Bクラス上位を目標にするのが良いと思います。
それがキープできればやがてAクラス昇級になる可能性もありますが、
Aクラスに昇級したら、またそこでクラス上位を目標にしないと意味がありません。
クラスがたくさんあったり、頻繁にクラスの昇降がある場合は、
平均しての状況を掴むべきで、毎回の昇降は誤差の範囲というかゲーム感覚で考えるべきです。
真面目にとらえると疲れてしまいます。
少なくともそういう教室の塾講師は「刺激があった方が良い」くらいにしか考えていません。
得意科目・不得意科目も、4・5年生ならばあまりこだわらなくて良いと思います。
例えば算数が得意なのに、他の科目が足を引っ張ってBクラスになってしまったとしても、
算数がものたりないと嘆く必要がありません。
その中で完璧を目指していれば、長い目で見て、Aクラスで算数を受けるよりもプラスかもしれません。
逆に算数が不得意なのに、他の科目が良くてAクラスにいるという場合は、算数の授業が苦しいかもしれません。
家庭学習の重要性が増しますが、
「塾で授業を受けているのに家庭学習が重要?」
そう思われる賢明なご家庭は、下のクラスに行けるようにお願いすると良いと思います。
書き足りないことがあるかもしれませんが、そろそろ6年生に入ります。
すでに字数は1776字です。
補足したいことがありましたら、また改めてブログを書きます。
6年生は志望校と絡むので、シンプルに考えることが難しくなります。
それでも基本姿勢は授業の吸収力を高めるためにクラスの上位にいることが理想です。
Aクラスにいたとしても下位にいたらピンチです。
考え方のポイントとしては、塾依存ではなく、
「塾では何ができる?」「家では何ができる?」と分けて考えることです。
塾で基本ばかりならば、家で応用をやります。
塾で応用ばかりならば、家で基本をやります。
どちらでも対処できます。
何回かブログに書いたことがありますが、
X中学の志望校対策講座があって、X中を志望しているけどその講座を受講できないとします。
ピンチでもありません。
むしろ、ギリギリその講座を受講できる方がピンチです。
例えば早稲田アカデミーのNNでも、下位クラスからの合格率は驚くほど低いです。
それではまずいから頑張って合格率の高い上位クラスに行こうとしますが、
6年生後半にもなると、なかなか昇級はできないと思います。
塾でX中対策講座ではなくて、もっと基礎を学ぶ講座に出た場合は、
塾で基礎をやっているから家ではX中の対策をしようと考えます。
その方が実は効率が良いです。
家での対策は簡単です。
過去問をやって、弱いところを集中的に学習してのくり返しです。
過去問を完璧な分かりやすい解説を聴く必要はありません。
解く力があるかどうかだけが問題です。
塾のX中対策講座では、過去問(まるごとではなくても)の解説、頻出単元の演習が中心ですが、
得意単元でも苦手単元でも頻出単元をみな同じように学習します。
家で対策をするのなら、苦手単元の学習の比重を高めることができます。
作戦の立て方次第ですが、一発逆転合格を目指すなら、家で対策した方が効率が良いです。
クラスが下がらないように必死に勉強するというのは、通塾の大きな武器ですが、
クラスが上がるように頑張るというのはバランスを乱す恐れがあります。
クラス内で上位を目指す方が健全です。
クラスに15人とか20人いると、みな同じというわけではありません。
塾に行っていたら、上手く育ててくれるから安心というわけではありません。
面倒見が良い塾でも限界があります。
塾でどういう勉強をやっていて、お子様の学力がどれくらいでということを考慮して、
家庭学習のスタイルを決めるのが正しい作戦です。
宿題に精一杯でそんな余裕がないというのは発想が逆です。
真面目に宿題をやっているからダメなのです。
宿題はあくまでもベースでそれを取捨選択して、オプションをいろいろ取り入れてオリジナル学習スタイルをつくるのが正解です。
塾講師からはあまりそういうことを言われないので、正解とは思いにくいですが。