- 2017年1月30日
先日のブログで、迷っていたらサピックスを勧めますと書きました。
それをご覧くださった、とても優秀なお子様の保護者のK様から
「どうして5年生の1月にカリキュラムが修了すると良いのかをブログに書いては?」というご提案がありました。
ブログネタは、地球上の石油以上に常に枯渇が心配の状況で、
これいままで書いたことあるな…と思ってしまう内容もたびたびあります。
この1月カリキュラム修了のテーマは、いままで書いたことがないテーマです。
- サピックスは1月終了
- 日能研は7月終了(厳密には終わっていないと思います)
- 四谷は数年前から1月終了
というのは周知の事実ですが、そのメリット・デメリットを目にする機会はほとんどないと思います。
がんばって書いてみようと思いました。
K様、良いテーマをご提案くださり、ありがとうございます。
昔は中学受験といえば5年生からでした。
そうするとどんなに足早に進んでも、カリキュラムを一通り終わらせるのに、6年生の7月までかかってしまいます。
ところが、いろいろな理由で、4年生からカリキュラムがスタートすることになりました。
大きく変えることを恐れたのか、
4年生の位置づけを、5年生でやることを先に1回やっておくという軽いものにしました。(四谷大塚が)
予習シリーズを使う塾はそれに追随し、多くの塾の4年生の位置づけはそのようなものだったと思います。
サピックスはそこを4年生から始めるのならば5年生1月で終了できるとして、
早めのカリキュラムを採用しました。
ただし、時期が早いこともあり難度は易しめです。
インターエデュではサピックスの教材が絶賛されていますが、
実は多くの塾講師からの評価は低いです。
それは時期が早いことを考慮してあっさりとした典型題が多く、一歩踏み込んだ良問がほとんどないからです。
難度をあまり変えずに時期だけを早めた予習シリーズがとても手強くなってしまったのと対照的です。
序章はこのくらいにしておきます。
本題は5年生の1月にすることのメリットとデメリットです。
まず、塾側のメリットです。
5年生と6年生の担当が変わる場合があります。
担当が変わったのならば、新担当はあまりカリキュラムの途中からやりたくはないでしょう。
特に「速さ」の途中とか「割合」の途中とか「平面図形と比」の途中から担当開始なんていうと、自分の土俵で指導ができません。
新担当になって一からやり直しの方がやりやすいです。
塾側のデメリットは、退塾の恐れがあること、システム変更のコストくらいだと思います。
次に塾生にとってのデメリットです。
教材があまり難しくなければ、やっていく上で不具合はあまりありません。
1週間2単元の旧予習シリーズの方がよほど苦しかったと思います。
強いて言えば、5年生の2学期が毎週のように重要単元がくるので、
そこで理解不足だと、ボディーブローのようにダメージが蓄積され、6年生になって苦しくなります。
そして塾生にとってのメリットです。
これはとても大きいと思います。
そうでなければ前回のブログで塾選びのポイントに挙げません。
6年生7月にカリキュラムが終わったらどうでしょう。
4~6年の7月までの長期間に学習したことを夏期講習のたった1ヶ月で復習できますでしょうか?
夏期講習を塾での拘束時間で考えたら、かなり長い期間に換算されますが、
塾+家庭学習と考えると、夏期講習は本当に1ヶ月間です。
そうすると、夏に復習し、それだけでは不十分で9月からも復習になり、
ようやく11月過ぎから志望校の問題をボチボチ始められるという態勢になります。
5年生の1月でカリキュラム修了していたらどうなるでしょう。
新6年生の2月から、時間をかけていままでの復習ができます。
さらにその中でも重要な分野を夏に再度復習することができます。
5年生の1月でカリキュラムが終わると、6年生の1年間は総合演習ができると思われている人も多いと思いますが、違います。
6年生の前期に復習ができることが大きいのです。
車の塗装と似ているかもしれません。
大衆車は塗装を2~3層だと思いますが、高級車は4層以上です。
海外の高級車は7層くらい塗っているかもしれません。
1回塗るごとに深みを増していきます。
中学受験勉強でもくり返す回数が多いほど熟成が進みます。
実際にカリキュラムが一通り終わったあと、いままでの復習として過去の内容に戻ると、
塾講師1年目なら倒れてしまうくらい、教えた内容が身についていません。
しっかり教え込んで、しっかり理解してくれたと思っていたのに、あれはいったいどこに消えたの?
と自信喪失してしまうほどです。
6年生の1学期は一からやり直すくらいの意識で教え込みます。
でも、新6年生から入塾した塾生にくらべれば、かなり身についているようで、
1回やったことは無駄ではなかったことにはなっています。
5年生の1月でカリキュラムが修了している場合、
超優秀児は、5年生の1月の段階で、かなり身についていて、もう入試演習で点数が取れます。
優秀児は、6年生の7月までにかなり身につき、8月から入試演習ができます。
普通の生徒さんは、6年生の8~10月でようやく身につき、11月くらいから入試演習で得点になります。
カリキュラム修了が遅れると、後手後手に回ることは、この計画でもお分かりになることでしょう。
特に普通の生徒さんにとって大きな差になります。
もう少し具体的に書きますと、
例えば4年生で習った規則性の高度な問題はほとんど身についていないとします。
それをいつ身につけられるかということです。
6年生の1学期に身につけられるか、
夏はやる量に対して時間が短いので、扱いきれないことにすると、
6年生の2学期に身につけるかです。
6年生2学期にようやく身につけるというのは、文字を見るだけで厳しいと思われると思います。
捻りがほとんどなく、テキストの数値替えのような入試問題であれば、6年生7月にカリキュラムが終わり、
8~12月までで総復習して、入試演習を軽く扱って入試本番で良いと思います。
しかし、捻りがあって、基礎の土台ができていることが前提という入試問題では、2層目、3層目の復習が欠かせません。
最後に、私感ですが、6年生の1学期はもっと難しいことをやった方が良いと思っています。
前述のように5年生の2学期が大変だったのであれば、それよりも楽になってはいけません。
サピックスの場合は、6年生の1学期と夏で風呂温度が39度から43度になるくらいの差ですので、
先を見すえて、1学期は背伸びをした方が良いと思います。
サピックスに限らず、5年生の1学期でカリキュラムが修了したのであれば、
2まわり目は可能な限り難しくした方が良いと思います。
難関校受験ならば、どこかで難しくなりますので、段つきがないように上昇させた方が無難だと思います。