- 2025年6月4日
偏差値45未満の6年生へ──
「塾に行く意味」を、今いちど問い直してみませんか?
こんにちは。
中学受験算数の現場で、長く子どもたちと向き合ってきました。
その中で、ずっと考え続けてきたことがあります。
一生懸命努力しているのに、なかなか成績が伸びない。
高い授業料を払いながら、成果が出ない。
焦るばかりで、何を信じて進めばいいのか分からなくなる──
そんなご家庭が、本当にたくさんあるのです。
偏差値45未満──「単元が変わり続ける」ことの深刻な弊害
これは、四谷大塚の偏差値を基準にしていますが、6年生前期で偏差値が45を下回っているお子さんにとって、いま受けている塾のカリキュラムが、本当に「意味のあるもの」になっているかどうか。
その視点で、ぜひ一度見直してみていただきたいのです。
もちろん、塾側にも配慮はあります。
授業で扱う問題はクラスのレベルに応じて調整されており、確認テストも共通問題だけでなく、クラスごとに異なるものが出されることもあります。
そこに工夫がないとは言いません。
ですが、「今週はこの単元」「来週は次の単元」という進度そのものは、すべての子に共通です。
たとえば、今週のテーマが「規則性」だったとして。
「まだ20%くらいしか理解できていない」「最低でも50%くらいまで深めてから次に行きたい」と思っても──
来週には「立体図形」に切り替わってしまいます。
こうして、理解が浅いまま単元がどんどん変わっていき、どの分野も中途半端なまま積み重なっていく──
これが、偏差値45未満の子が抱える最大の問題です。
この進度に「対応できないこと」こそが、成績が上がらない理由なのです。
本当に必要なのは、「合った順序で」「意味のある演習を」
偏差値45未満のお子さんに今いちばん必要なのは、塾の授業を追いかけることではありません。
必要なのは、順番を整えること。
そして、「やれば伸びる」学習を、落ち着いて積み重ねること。
中でも最重要の単元は【比と割合】
これを正確に理解し、いろいろな問題で使いこなせるようになるだけで、成績は大きく変わります。
そしてその次に取り組むべきは、【図形】
特に「面積」と「相似」に絞って、ていねいに演習を積み重ね、理解度を上げていく。
この順番を守ることで、土台が整い、いろいろな単元にも対応できるようになります。
授業料に見合う「学び」が、そこにあるでしょうか?
ところが、実際の塾では、こうした順序や必要な単元に集中する機会がほとんどありません。
偏差値45未満のお子さんにとって、塾はもはや「自分のレベルに合った指導を受ける場所」ではなくなってしまっています。
高額な授業料を払いながら、本当に必要な学習──たとえば【比と割合】【面積や相似】といった基礎──は、自宅で自分でやらないと力がつかない。
塾の授業では深く扱ってもらえず、どんどん次に進んでしまうからです。
つまり、授業料を払いながら、実際には「自分で作戦を立て、組み立て直して学び直す」必要があるという矛盾が起きています。
しかも、塾のペースに合わせようとしている限り、その「自力の学び直し」とも噛み合わない。
授業料に見合ったサービスが、そこにあるとは言えないのではないでしょうか?
解ける問題を、ていねいに
もうひとつ大切なのが、「問題の解き方そのものを見直すこと」です。
どれだけ演習を重ねても、解くときの書き方が曖昧だったり、その都度ばらばらだったりすると、思考の整理ができず、理解も定着しません。
まるで、ざるで水をすくっているような勉強になってしまうのです。
ですから、まずは「こういう問題は、こう書いて解く」と自分なりの型を決めておくこと。
そしてそれを、演習の中で少しずつ洗練させていくこと。
また、学力が上がる学習の“目安”として、私は次の状態を一つの基準にしています。
1時間で15問ほどの問題に取り組む
そのうち12問は自力で正解できる
あとの3問は解説を読んですぐに理解できる
こうした学習の積み重ねができていて、成績が伸びなかった子を、私は見たことがありません。
逆に、どれだけ時間をかけても、
・問題が難しすぎて自力で正解にならない
・半分以上が解説を読んで身につけようとするだけ
・書き方が定まらず、毎回思考がぐちゃぐちゃになる
──という状態が続いてしまうと、やはり成績は上がりにくくなってしまいます。
ですから、学習方法や教材、あるいは塾・サービスを選ぶときには、
「このスタイルの学習ができる環境か?」という視点で選ぶことが、何より大切なのです。
「辞める勇気」が救うこともある
塾に通っていることが“安心材料”になっているご家庭も多いかもしれません。
でもその安心感が、「本当に必要な勉強から目をそらす理由」になってしまっているケースもあるのです。
本来、塾に通う目的は「合った学びを受けて、力をつけること」です。
それが叶っていないのであれば、「このまま塾に通い続けること」が本当にお子さんのためなのか、立ち止まって考えてみる必要があるかもしれません。
高額な授業料を払っても、実際に力をつけるのは家での自学。
カリキュラムは毎週変わり、焦りだけが残る。
それが続くくらいなら、塾を辞めて、落ち着いてやり直すことの方がよほど有意義です。
最後に──変化は、順序と設計から生まれます
お子さんに必要なのは、「今の自分に合った順序で、必要なことに集中できる学び」です。
私はそのために、教材を作ってきました。
本当に必要な単元に絞り、一歩ずつ積み上げていけるように、派手さではなく、地に足のついた教材を届けたいと思っています。
この教材が、
「塾に行っているのに、成績が上がらない」
「何から手をつけていいか分からない」
そんなご家庭にとって、新しい選択肢となれば幸いです。
