- 2024年3月18日
けれど、“習慣”と“素地”をつくる意味では、重要です
「小3から受験勉強って、やっぱり早いですか?」
そんな質問を投げかけたい保護者の方が多いと思います。
私はこうお答えします。
“受験に向けた学力”はまだ育ちませんが、“受験に耐える習慣”は、小3から育てたいです。
ここで焦って先取りや過剰な詰め込みをする必要はありません。
大事なのは、スピード感のある暗算力と、思考することに前向きになれる環境を作っておくことです。
小3で「必ず身につけたい」こと
受験を前提にすると、算数の核は5年生から。
ならば、小3の時点で何をしておくべきか?
答えはシンプルです。
計算の基礎体力をつける
- 「3桁×1桁」「3桁÷1桁」などの暗算処理
- 2桁以下の10個前後の数字をテンポよく足していく力
- 「2桁×30以下の2桁」のような中程度のかけ算の暗算
- 3桁以下の引き算のスピードアップ
- 最小公倍数を暗算で求める力
これらは一見地味ですが、4年生以降に応用問題へ自然に進むための下地になります。
つまり、“考える前に、止まらずに計算できる”という状態を目指します。
できれば取り入れたいこと
思考力の芽を育てる「書き出し」の練習
当教材の「小3鍛える算数」では、シンプルながら場合分けや書き出しのセンスを養う問題を用意しています。
これは、のちの場合の数・論理問題で力を発揮する基礎回路になります。
楽しみながら“慣れる”パズル系教材
たとえばナンバープレイス(数独)など、ゲーム感覚で論理的に考える楽しさを知る教材も、小3には非常に有効です。
ここでは「解けること」よりも、考えることが当たり前、楽しいと思える心を育てることが第一です。
能力があれば、先取り学習もOK
ただし、それが「合格力」ではありません
先取り学習ができる子にとっては、小3の段階で小4〜5レベルの単元に触れるのも構いません。
でも、ここで強調しておきたいのは——
それをやったからといって、トップ校に入れるわけではないということ。
これは、トップ校に合格する素質のある子が、悠々と合格するためのものです。
逆に、無理な先取りで「理解できないまま覚える習慣」がついてしまえば、それはむしろマイナスです。
日常生活で育てたい「数字の常識」
小3のうちに育てたい力として、もう一つ忘れてはならないのが、“数字を現実感を持ってとらえる力”です。
身長15mとか、体重300kgと書くような間違いは、ほとんど見かけません。
なぜなら、これらの数値は日常の感覚として常識が備わっているからです。
でも、それ以外の数字の常識は意外と育っていません。
たとえば——
「東京から静岡まで距離が1000㎞」
「蛇口で1分間に4㎤の水が入る」
「売れ残った商品を定価の9割引で売る」
こうした突拍子もない数字を平気で書いてしまう子は、少なくありません。
それは、時間、速さ、面積、体積、割合などの感覚が、まだ日常に根付いていないからです。
数字であふれかえった生活を、あえてつくる
だからこそ、小3のうちから、「数字が自然に飛び交う生活」を意識して取り入れていくことが大切です。
- コンビニで「100gあたり198円ってことは、これ何グラムでいくらだろう?」
- 「家から学校まで1200m、時速40㎞で走ったら何分かかるかな?」
- 「一斗缶、一升瓶って何?」
- 「これ2割引だけど、いくら安くなっている?」
こうした会話を繰り返すことで、数字が“抽象的な記号”から、“実感のある情報”に変わっていきます。
算数は、常識の上に成り立っています。
常識がズレていれば、解いていても“変なこと”に気づけません。
だからこそ、小3の時期に「数字の常識」をどれだけ蓄えられるかが、後々の算数の“ブレ”を防ぐ最大のポイントになります。
まとめ
- 小3は「受験の勝敗を決める時期」ではないが、「学びの質を決める時期」
- 暗算・計算の基礎体力と、考えることに前向きになれる環境づくりを
- 日常会話に数字を持ち込んで、「数字の常識」を生活の中で育てる
- 無理な先取りではなく、“受験に耐えられる習慣と頭の使い方”を育てる
中学受験は、小5・小6が勝負。
だからこそ、小3では無駄な先取りより、本当に必要な力だけに絞るべきです。
受験勉強はまだ早い。
でも、“受験に耐える頭と習慣”は、いつやるの?
今でしょ!
