予習シリーズ5年上の第3回の割合は頑張るべきか?

大手塾では比よりも割合を先に学習します。

タイトルの通り、予習シリーズ5年上第3回で割合が登場します。

問題を見ますと、比を使えば解きやすいのに!と思ってしまう問題ばかりです。

そう思うのは私だけでしょうか?

そんなことはありません。

塾で働いていたときに、同僚の多くと、比の前に割合を扱うことは無意味と話が一致しました。

私がカリキュラムを決めてテキストをつくっていたので、最小限の割合だけ扱って、すぐに比に入って、その後、改めて割合の実戦的な文章題に戻る形にしました。

 

では、どうして比の前に割合を学習するのでしょう?

それは小学校の算数のカリキュラムに準拠していると思います。

小学校の算数では5年生で百分率や簡単な割合で、6年生で簡単な比を学習します。

百分率と簡単な割合ならば、比の前に始めてもまったく問題ないですが、中学受験算数はレベルが高く、レベルの高い実戦的な割合の問題を、比を知らずに解いていくことはとても困難です。

武器を持たずに野生のクマと闘おうとするようなものです。

 

比の前に割合を学習するということは、全体を1にして、割合分数でいろいろな操作をします。

複雑な問題になって、難しい操作をしなければいけなくなるときに、イメージできずにいい加減に解きがちになり、それが良くないと思っています。

割合の前に比を学習すれば、整数で考えていくことになります。

いろいろな操作をしても、整数で処理できるので、最後までイメージして解けるようになります。

どちらが良いでしょうか?

私はいい加減に解くよりも最後までイメージして解いた方が、悪い癖が付きにくく良いと思います。

 

予習シリーズ5年上第3回の割合は、担当講師が上手く比で処理して解説してくれるならば、その方針通りに解いた方が良いと思います。

担当講師が、テキスト通り、整数にこだわらず、分数でどんどん進めていくタイプならば、よほど能力が高くてしっかりこなせる子でなければ、飛ばして良いと思います。

無理して教え込むと、算数の難しい単元はイメージできなくても気にせずに頑張れば良いのかと、質の低い勉強で良いという考え方になってしまいます。

 

しかし、難しいからといって飛ばすと、テストの点数が下がり、コースも下がる恐れがあり、塾のクラスも下がってしまう場合もあります。

長い目で見ると質の低い勉強は絶対避けていきたいですが、点数の魔力は、長い目で見る意識を砕きます。

 

そもそも中学受験のカリキュラムが決まったのは1960年代だと思いますが、当時の算数はとても易しく、いまの週テストのBくらいが難関校の入試問題でした。

そのレベルなら整数でなくてもイメージできるので、割合から始めても問題がなかったと思います。

そこから受験算数はぐんぐんレベルが上がっているので、取り組みやすいように昔のカリキュラムから変更した方が良いですが、なぜか変わりません。

 

当教材として、今年は予習シリーズアドバイス集という名称で、リンク式の解説で予習シリーズの練習問題の解説を書いて販売しています。

この第3回割合は書くのが困難でした。

どんなに工夫して書いても、イメージしにくいものになってしまうので、比を使ってしまいました。

カリキュラムという呪縛を解いて、比を使うことで整数でイメージしやすくなりました。

予習シリーズの理念通りに勉強したい人は、できるだけイメージできるように時間をかけて根性で頑張るか、飛ばすかです。

理念は気にせず、学力が高まれば良いと考えている人は、比を使ってイメージして解いてください。

塾講師に比を教わらなかった場合は、予習シリーズアドバイス集をぜひご利用ください。

 

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