小学3年生の間に「書き出し」の学習をする!

場合の数は最重要単元

中学受験で最も重要な単元は場合の数です。

立体図形が最も重要な単元と呼びたくなる時期もありましたが(2010年代)、立体図形は、中学入試の問題ではあまり差がつきにくいです。

さじ加減によって、みんなできないとか、みんなできるとなりやすく、差をつけることが狙いの入試問題にはやや不向きな単元です。

差がつきやすい単元といえば、数系の問題で、数の性質、規則性、場合の数ですが、入試問題レベルになると、分類する意味はなく、数系でひとくくりにしても良いような気がします。

生徒さんを見ていると、場合の数に強い人は、規則性も数の性質も強いと言えるのではないかと思っているからです。

数系は難しくなっていくと、程よく差がつくので、数系が得意な受験生はアドバンテージがあると言って良いです。

数の性質や規則性は4年生で取り組みますが、その両単元は、難関中の入試問題とは次元が違いすぎるので、3~4年生の間は「数系を鍛える=場合の数を頑張る」で良いです。

その意味で、5年生くらいまでは、中学受験で最も重要な単元は場合の数となります。

書き出しとは

書き出しとは「A+B+C=8になるものをすべて書き出しなさい」というような問題です。

これは21通りあります。

5年生になると「1+2+5」から6通りできるなどの上手い考え方で難なく21通りと求められるようになり、6年生なら7×6÷2=21通りとテクニックで解くと思います。

書き出しは、このような上手い考え方を使わずに愚直に21通り書き出します。

後にテクニックを教われば簡単に答を求めることができますので、この書き出しを無駄なことと捉えるか、大切なことと捉えるかは、保護者様の考え方によります。

場合の数は滅茶苦茶な解き方をする人が多い

場合の数は抽象的なので、実感しにくく、「なぜかこの計算で答えが出る」という感覚になりやすいです。

書き出しのところを計算したり、たすところをかけたりといった目を覆いたくなるような答案は、実感ができていないからです。

そのために必要なのが、場合の数の「書き出し」です。

書き出しで、どうしてこれはかけ算で良いか、たし算で良いかなどを実感して解くことができます。

次の初歩的な問題を考えてみます。

男子2人と女子3人の5人が横1列に並ぶとき、男子が両端になる並び方は何通りありますか?

女子3人の並び方は3×2×1=6通りで、両端の男子は左右入れかえられるので、2通りあります。

答は6×2=12通りですが、これを6+2=8通りとしてしまう子がいます。

特に説明するときに「女子の並び方は6通りですね。男子は左右逆の2パターンありますね。合わせると何通りですか?」と、わざと「合わせる」という言葉を使うと、8通りと答える子が多発します。

書き出しの練習をしっかりしていたら、男子をAとBにすると「A○○○B」というものを6個書き出し、「B○○○A」というものも6個書き出して、6×2で求めたと実感しているので、先生に「合わせる」なんてひっかけの言葉を使われても、「6+6」か「6×2」をイメージして12通りと答えます。

これが書き出しでイメージを鮮明につくるという意味です。

場合の数はなぜ難しいか

少しレベルを上げた問題も考えてみます。

0,1,3,5,6,8の数字を使って(同じ数字は2回以上は使わないというルールで)、3桁の整数をつくったとき、3の倍数は何通りできますか?

3の倍数は、各位の和が3の倍数です。

3の倍数は各位の和が3の倍数になる理由は、今回のテーマとは違うので、触れませんが、4年生で頑張って理由を理解して、5年生で自分の言葉で説明できるくらいになりたいです。

まず、各位の和が3の倍数になるように、3つの和が3の倍数になる3つの数書き出します。

3つの数個数書き出し
0,1,54105,150,501,510
0,1,84108,180,801,810
0,3,64306,360,603,630
1,3,56135,153,315,351,513,531
1,3,86138,183,318,381,813,831
1,5,66156,165,516,561,615,651
1,6,86168,186,618,681,816,861
合計36 

上の表の左の欄のように7つあります。

順序正しく書いていることがお分かりになると思いますが、こういう習慣をつけると、算数全般の解法の質が上がります。

書き出す練習によって、順序正しく書く習慣が身につきます。

「0,1,5」を並び替えると2×2×1=4通り、「1,3,5」を並び替えると3×2×1=6通りと計算できます。

0が含まれるものはすべて4通りで、0が含まれないものはすべて6通りになるので、全部、計算する必要はなく省略できます。

書き出すと、表の右の欄のようになります。

書き出しに慣れていると、右の欄のように書き出すこともできますが、4通りが3つで、6通りが4つで、答は4×3+6×4=36通りと計算でも納得がいきます。

見出しに書きましたように、どうして場合の数が難しいかお分かりですか?

書き出し計算省略が混在しているからです。

これを使い分けていくことが難しいですが、右の欄に書きましたように、ベースはすべて書き出しです。

ベースは書き出しですが、上手く考えることによって、書き出さなくても、計算で求められたり、省略できます

この感覚を養うことが大切です。

書き出しの効能

場合の数に強くなる

書き出しの練習をすると、書き出しの代わりに計算省略がある感覚が身につきやすく、書き出し計算省略で混乱しにくいです。

3年生の間に書き出しの練習をしっかり取り組むことで、場合の数はベースは書き出しで、計算できるところは計算する、省略できるところは省略するという、場合の数を正しく捉えられるようになります。

整えて書く習慣が身につく

算数が苦手な子の理由の1つに、書き方が雑だからというものがあります。

書き方が雑になると、考え方も雑になります。

雑に書く癖がついてしまうと、何回注意しても、なかなか直りません。

算数は2つのものを見くらべて、和を求めたり、差を求めたりすることが多いです。

見くらべられるように書かないと、そのような発想が出てきにくいです。

自分の書いたものを見て、考えたり、見くらべられるくらいの丁寧さが必要です。

書き出し練習は、答えをたくさん書いていく勉強です。

ちょこちょこっとメモ程度のものを書いて答えを出すことはできません。

最初から清書のつもりで書くことになるので、ほとんどの子は丁寧な学習習慣が身につきます。

書き出しの練習をすることで、整えて書く習慣もつき、解法の質が上がります。

雑にサッと計算して答を求めて丸付けをして終わりという一般的な勉強と比べると、雲泥の差だと思います。

実感して計算するようになる

算数のほとんどの問題は計算で求めます。

計算している姿を見ると、何を求めているか分かっているんだろうなと思いがちですが、そうでもありません。

いま、何を求めたの?と聞いたときに、「式の答えです」と言うか、口ごもるかという子が多いです。

つまり、問題に書いてある数字を、なんとなく、「たしたり」「ひいたり」「かけたり」「わったり」して、何かを求めている状態です。

その計算で何を求めるかが鮮明になっていないと、算数を得意にしていくのは難しいです。

例えば、場合の数で、5人から2人を選ぶ方法は、5C2=10通りと覚えている子が多いですが、理解するためには、5×4÷2=10通りと身につけます。

どうして、5と4をかけるのか、5と4をかけた20は何か、どうして20を2で割るのかということが、子どもの言葉できちんと伝えられる力が必要です。

書き出し練習をすると、5×4÷2=10ではなく、4+3+2+1=10になると思いますが、A~Eの5人だとすると、AB・AC・AD・AEで4通り、BC・BD・BEで3通り、CD・CEで2通り、DEで1通りで、4+3+2+1=10通りが実感できます。

書き出したことと、計算式が繋がることが大切です。

計算式で何を求めているのかを鮮明にイメージする習慣をつけるには、書き出し練習が最適だと思います。

書き出しは誰でも必要

難関校の算数は場合の数がとても重要ですので、「書き出し=場合の数」ということから、書き出しの練習は難関校受験生向けかと思っていました。

しかし、スカイプ指導などを通じで、幅広く多くの生徒さんに効果がある勉強だと考えが変わりました。

書き出しの練習は、場合の数の先取り学習という意味合いもありますが、上記の通り、書き出すことで実感する力を高めているからだと思います。

言い換えますと、高学年になっても、式を覚える、いわゆる暗記の算数になりにくく、質の高い学習ができるようになります。

小3鍛える算数【書き出し】で書き出しの練習をする!

小3鍛える算数【書き出し】の特徴

優秀な生徒さんが汗をかきながら楽しく解いて、トライ&エラーを繰り返した末、正解になって嬉しい表情を見せる問題を集めました。

入試の意識が薄い小学3年生は、特に楽しい問題ではないといけません。

私から提案する教材選びのポイントは「汗をかきながら楽しく解く問題が多い」ことです。

飽きがこないように、書き出す過程の楽しさや、全部書き出したときの達成感があるような問題を並べていきました。

生徒さんができたときに、嬉しそうな表情をするかどうかを基準にしました。

是非、取り組んでください。

小3鍛える算数【書き出し】の概要

単元別に分かれていますが、各単元、書き出す練習がメインの教材です。

全24回用意しています。

スタンダードな使用例は、1週間に1回分を学習し、24週間で終わらせます。

1回の教材で、書き出しが6問、思考力(チャレンジ問題)が2問で、合計8問です。

※一部、単元の性質により、構成が異なっています。

全24回6000円、前半12回3500円、後半12回3500円です。

ご注文フォームの入力欄にご入力いただき、送信後、ゆうちょ銀行に教材費のお振込をお願いします。

こちらで入金を確認しましたら、教材をPDFファイルで保存しておりますGoogleドライブのアドレスをメールでお伝えいたします。

そのドライブからダウンロードできますので、ご自由に編集や印刷をなさり使いやすい形で取り組んでください。

小3鍛える算数【書き出し】の使い方

お子様が問題の意味が分からないときは、解き方ではなく問題の意味を教えてください。

書き出しの問題の場合は、1つくらい見本例とするのは良いです。

できなくても教える必要はございませんし、繰り返す必要もございませんが、数か月後に解き直すと効果はあります。

教わるよりも自力で解くことを重視してください。

公文のように間違えたら何回も再チャレンジする方式で取り組めます。

1回で20~60分くらいかかり、20分で完成させられる子はトップレベルと判断できます。  

 

カリキュラム

回数単元名学習日
第1回道順5.7
第2回数列①5.14
第3回図形を数える①5.21
第4回図形と規則性①6.4
第5回数をあてはめる①6.11
第6回図形をつくる6.18
第7回ならべる①7.2
第8回場合の数①7.9
第9回方陣算7.16
第10回魔方陣9.3
第11回虫食い算9.10
第12回N進法9.17
第13回道順②10.1
第14回図形を数える②10.8
第15回図形を数える③10.15
第16回数列②11.5
第17回図形と規則性②11.12
第18回推理①11.19
第19回ならべる②12.3
第20回ならべる③12.10
第21回場合の数②12.17
第22回推理②1.7
第23回数をあてはめる②1.14
第24回立方体1.21
学習日はモデルケースです
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