- 1. 平面図形と場合の数を先に仕上げる理由
- 1-0-1. ■ 「中学入試算数リスタート」は、5年生スタート専用
- 1-0-2. ■ 比と割合は5年生夏に大手塾に追いつく
- 1-0-3. ■ 平面図形と場合の数を前半にまとめる理由
- 1-0-4. ■ 4年生から始めるという選択もある
- 1-0-5. ■ 平面図形と場合の数に、じっくり時間を使う作戦
- 1-0-6. ■ ハイスペックな子なら、5年夏には「比と割合」へ
- 1-0-7. ■ 前倒しできない理由 ――「理解」どころか「暗記」でも解けないから
- 1-0-8. ■ だからこそ、「比と割合」は5年生の6~8月に固定すべき
- 1-0-9. ■ 4年生からのスタートも可能 ── ゆっくり派・演習派の選択肢
- 1-0-10. ■ 結論 ── “早さ”より“順番”、そして“戦略”
平面図形と場合の数を先に仕上げる理由
■ 「中学入試算数リスタート」は、5年生スタート専用
多くの保護者の方が、こう考えます。
「中学受験の算数は早く始めた方が有利なのでは?」
しかし、実は“早く始めること”よりも、“どの順番で学ぶか”の方がはるかに重要です。
中学入試算数リスタートは、その順番に徹底的にこだわっています。
この教材は、5年生4月スタートを前提に作られた教材です。
「ゆっくり始める5年生のための教材」ではなく、「5年生から最短距離で難関校レベルに到達するための教材」です。
■ 比と割合は5年生夏に大手塾に追いつく
カリキュラムを見ていただくと、序盤から次のような構成になっています。
角度① → 三角形と四角形① → 数の性質① → 計算① → 場合の数① → 角度② → 規則性① → 円とおうぎ形① → 和と差の文章題① → 場合の数② → 比と割合① → …
場合の数②までで78テーマ。
ハイスペックな子であれば、1週間に5テーマ進める想定で、約110日、つまり5年生の7月20日頃に「場合の数②」まで終えます。
そして――
夏休みには、「比と割合」の学習をスタート。
これはちょうど、大手塾の生徒が比を学び始める時期とほぼ同じです。
つまり、5年生4月スタートでも、学力が高くて難関校を目指す子は、夏には大手塾の塾生に追いつけるのです。
■ 平面図形と場合の数を前半にまとめる理由
上記の学習する順番を見て、気づかれると思います。
平面図形と場合の数が、早い段階で集中的に登場します。
これは偶然ではありません。
平面図形と場合の数は早めに主要問題を網羅したかったのです。
78テーマ中、平面図形で31テーマ、場合の数で18テーマ学習します。
※大手塾の4年生は、1週間に3テーマ学習すると換算してください
■ 4年生から始めるという選択もある
「5年生4月スタート」専用とはいえ、前倒しで4年生から始めることも可能です。
4年生の然るべき時期にスタートし、カリキュラムの順番通りに学習します。
早めに始めたら、1週間5テーマをどんどん学習していく必要はありません。
早めに始めた分、じっくり進めていきます。
「速いこと=立派なこと」ではなく、しっかり吸収していくことが大切です。
■ 平面図形と場合の数に、じっくり時間を使う作戦
この教材のもう一つの使い方として、「重要単元を深めるための“中断型カリキュラム”」も効果があります。
上記のように、平面図形(角度・三角形・四角形・円)がまとまって登場します。
ここを学び終えたら、平面図形は、大手塾の4年生終了時以上の範囲まで学習しています。
そこで、カリキュラムを一旦中断して、平面図形の演習にしっかり時間をかけます。
同様に、「場合の数①・②」も同じです。
ここまで学んだら、一度立ち止まり、じっくり演習で筋道を鍛える。
難関中学を目指し、場合の数と平面図形に力を入れたいと考えていらっしゃる方は、「止まる」「深める」「整理する」という学習で、地力をつける作戦が、特に効果的です。
■ ハイスペックな子なら、5年夏には「比と割合」へ
上記の通り、この構成で学習を進めると、ハイスペックな子どもなら、5年生の7月頃には「場合の数②」まで到達し、ちょうど夏休みから「比と割合①」に入ります。
これは偶然ではなく、明確な狙いです。
大手塾のカリキュラムでは、5年生の6月ごろに「割合」、夏休みに「比」を学習します。
大手塾では、4年生から学習が始まっているのに、5年生スタートでも、5年生の夏に追いついてしまうのです。
これは、大手塾でも「比と割合」だけは、早く扱うという乱暴な手段をとっていないからです。
■ 前倒しできない理由 ――「理解」どころか「暗記」でも解けないから
大手塾が、これ以上の前倒しをしないのには理由があります。
「比と割合」は、精神的にも抽象的にも難しい単元。
5年生より前では、“解き方の暗記”でも対応できないほど、不毛な学習になってしまうのです。
」
。
他の単元でも同じ現象は起きています。
しかし他の単元では、“型を覚えれば解ける”ために、「不毛な学習になっているのにできてしまう」という構造が存在します。
いずれにしても先取り学習の怖いところです。
■ だからこそ、「比と割合」は5年生の6~8月に固定すべき
このため、比と割合の学習時期は早くても5年生の6月以降が理想です。
そこを境界線にして、その前は、5年生スタートにするか、4年生スタートでゆっくり進めるか、4年生スタートで場合の数や平面図形の演習量を確保して徹底的に鍛えるか。
つまり、難関校を目指す子たちには、
🔹 比と割合を学ぶ“前”に、平面図形と場合の数に特化する。
🔹 比と割合を学ぶ“後”に、一気に全単元を繋げていく。
この2段階構成ができることが、リスタートの核心でもあります。
■ 4年生からのスタートも可能 ── ゆっくり派・演習派の選択肢
中学入試算数リスタートは、5年生からのスタートでも4年生からのスタートも可能です。
・じっくりゆっくり進めたいタイプ
・平面図形や場合の数をとことん練習したいタイプ
そんなお子様にとっても、リスタートは最適です。
この教材は、前半で主要な平面図形と場合の数を網羅する構成になっているため、4年生から始めても「やる意味がある」教材になっています。
4年生から始めれば、時間的にも余裕があるため、平面図形や場合の数の演習にしっかり取り組めます。
早めに始めて、じっくり積み重ねる――
難関中を目指すなら、この戦略は非常に効果的です。
■ 結論 ── “早さ”より“順番”、そして“戦略”
「早く始める」ことに価値はありません。
大切なのは、「正しい順番で学ぶ」こと。
中学入試算数リスタートは、5年生4月スタートでも追いつけるように、そして4年生から始めても崩れないように設計されています。
一部の、特に優秀で、精神年齢の高い子を除けば、比と割合を5年生の6~8月に学習するのが最も理にかなった流れです。
ですから、まず「比と割合を5年生の夏にやる」と決めて、そこから4年生をどう過ごすかを考えてください。
焦る必要はありません。
学ぶ順番を整えれば、5年生スタートでも、4年生スタートでも、ちゃんと“算数の軸”は作れます。
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