- 2017年7月29日
塾で範囲の決まっているテストは、1か月などという期間内に学習した内容のテストになりますので、解き方を覚えていると思います。
それに対して、範囲の決まっていないテストは、いままで学習したことすべてから出題されます。
よく対策法を質問されますが、付け焼き刃的な対策ではなく、真の力を見たいということで塾側が出題しているのに、付け焼き刃的な対策で立ち向かおうとしている矛盾を、失礼のない言葉で返すようにしています。
簡単に言いますと「力をつければ良い」となりますが、そういう単純な問題でもありません。
まず、ポイントは、いままで学習した単元の問題を身につけているかどうかです。
解き方を覚えているかどうかです。
そのフレーズを耳にしますと、忘れないように定期的に反復練習をしたりすることが大切だと考えがちだと思います。
もちろん、定期的な反復ができれば、解き方を忘れることなく、範囲の決まっていないテストで点数が取れるかもしれません。
しかし、その姿勢は、本質とは違うのではないかと思っています。
解き方を覚えるのではなく、深く理解すれば大丈夫というアドバイスが一般的ですが、抽象的すぎて、「では、深く理解するとはどういうことですか?」と問われると思います。
子供に説明をさせるというのが一般的に言われる内容ですが、下のような順序が成り立つと思います。
(解き方を覚えて解く)<(どうしてこういうことをやっているのかなんとなく分かる)<(他人に説明できるレベル)
2番目まで行けばいいのですが、子供に説明をさせるというのは3番目を求めているわけです。
必ずしも説明ができなくても、必要十分な理解を得られている可能性もあります。
ここで、私からの提案を書いてみます。
答えが出るまで解き方を身につけないことがポイントだと考えています。
例えば、水量の容器の問題ですが、真正面から見た図をかいて解くことが一般的です。
ときどき、テストのときに、そのような図をかかずに正解にできない教え子がいます。
「どうして、図をかかなかったの?」と問い詰めますと、「忘れました」と返ってきます。
そんなこと忘れるのかな?と思うレベルですが、こういうケースは一度や二度ではありませんので、本当に、つい忘れてしまうのでしょう。
やや話が逸れましたが、水量の容器の問題ならば「水を求められたら求めておき、真正面から見た図をかいて、あとは頑張れ!」という身に付け方で十分です。
細部まで身につけようとするので、いろいろな問題とごちゃ混ぜになり、細かすぎるので忘れがちになり、しばらく解いていないと忘れてしまうというわけです。
大事なことは、方向性だけ覚えておき、あとは考える余地を残しておくという姿勢です。
いくつかの事例を挙げます。
- 円と角度なら二等辺三角形を利用して考える
- 通過算は、条件を式にして並べてから考える
- 速さと比の問題は、「図をかくべきか(解くための図、イメージの図、図のかわりの時系列の箇条書き)」「比例で行けるか」「はじきで整理すれば行けるか」で問題を分類する
- 平均算なら、「表をかくか」「面積図をかくか」を判断する
- 規則性の周期性なら改行して並べ直してみる
- 対角線の本数は、五角形をかいて規則を考える
このように、まず問題を見たときにどういう心構えで向き合うかを決めます。
そこまで身につけておけば、そのあと自力で考えても、かなり高い確率で答えが出ます。
最後に挙げた対角線の本数は、たいして登場するわけでもない「(N-3)×N÷2」を覚えるよりも、「五角形で試す!」と考えた方が良いと思っています。
塾講師時代、先輩の講師が「質問にきた生徒に、俺が一言だけ伝えればすぐに分かって帰って行く」と豪語していた講師がいましたが、さすがにそれは誇張しすぎですが、だいたいこういうことだと思います。
このテーマの問題はどう考えていくかというのは、テーマごとにいろいろあります。
解き方をいろいろ身につけている子は多いですが、整理して身につけていないといいますか、自分で探し当てることができず、解き方が浮かばないケースが多いと思います。
当教材の対話式算数はそこにこだわって作成しています。
このテーマはこうするという姿勢を育成したいと考えています。
対話型の教材というのも、それにふさわしいツールだと思います。
最近、「はっきりと身につけるのではなく、こういう問題は、こういうように書いていくのかな?とぼんやりと進めていくことが大切」だと言っていますが、これをファジー算数と呼んでいます。
対話式算数はそのファジー算数を身につけられる教材だと思っています。
以前いただいたメールにこのようなものがありました。
こちらでしっかり勉強した単元は得意分野になっています。
一度勉強した後も、解き方を忘れていないのが素晴らしいです。
こちらの教材で勉強した後、塾の宿題に取り組むと、自力で解ける問題が増えて、自信につながるようです。
宿題が終わりきらなくても、確認テストで得点がとれるので、塾の先生にも何も言われません。
1回習ったことを、時間が空くと次々と忘れて、範囲の決まっていないテストで悲鳴をあげている我が子を見ると、保護者として、とてもしんどいと思います。
この教材で、そのしんどさを軽減できていると思うと、とても嬉しいわけです。
「解き方を覚えて、それを忘れないように反復演習!」と考える塾講師が多いと思います。
それを否定はしませんが、私のつくる教材はざるで水をすくいたくないのです。
「解き方を覚えて真似して解ければ良い!」「忘れないように反復練習をする!」という姿勢なら、対話式の教材は不向きです。
読むのが面倒だからです。
スペースが空いていて見やすく、実際に解くときの書き方の例が載っていれば十分です。
あとは、たくさん反復して体に染み込ませるという狙いで取り組めばいいのです。
勉強法には何が正解というのはないと思います。
反復が重要と考えずに反復しないでも身につけることが大切とお考えの方は、是非、対話式算数をご利用ください。