入試問題を速く解く方法

捨て問の意味

 

たびたびブログに書いていますが、「捨て問」についてから書き始めます。

捨て問がいつから使われ始めたか分かりませんが、

意味を間違って使っている人が多いような気がします。

 

入試は制限時間がある

難しい問題や時間がかかる問題に時間を使ってしまうと、制限時間にあまり多くの問題が解けない

難しい問題や時間がかる問題は後に回そう

できなくても満点を取る必要はないから問題なし

捨ててもいい問題

だから捨て問

 

という成り立ちだと思います。

 

捨て問なんて言葉がない時代から

まず、1番の計算はすべて解きましょう

2番の一行問題は解き方が分からない問題以外は解きましょう

3番以降は解けそうな問題から解きましょう

難しい問題が最後にくるとは限らないので、ちょっと考えて分からなければ後回しにしましょう

このくらいのアドバイスはどの塾講師もしていました。

 

ちなみに難関中は大問構成の出題なので、1番からいきなり飛ばすという場合もありますが、

その可能性は低いです。

 

つまり、入試のときの制限時間と照らし合わせて捨て問があるわけです。

「難問=捨て問」ではありません。

「難問=捨て問」ならば灘2日目や麻布や栄光や渋幕のように全問が難問だと、すべて捨て問になってしまいます。

あるいは慶応中等部のようにすべて平坦な問題でも捨て問はあるわけです。

力がある受験生なら捨てないとは思いますが。

 

家で問題を解くときにまで捨て問というのは本来の意味からすると不可解です。

家での勉強も時間に限りがありますので、難問に取り組むよりも他を優先すべきお子様はいると思います。

そういう場合は捨て問と呼んでもいいのかもしれませんが、

普通に、この問題はあなたにとって優先順位が低いとすればいいような気がします。

 

捨て問について600字以上書いてしまいましたが、今回は入試問題を速く解く方法についてです。

捨て問も関係あるようなないようなというところですが、準備運動として書きました。

 

模擬試験は時間が厳しい

 

模擬試験は時間にあまり余裕がありません。

何年か前に、少々訳ありで、私自身、四谷大塚の合不合判定テストの男子問題を4科通しで解きました。

1科目ごとに制限時間があるわけではなく、4科で 50+50+35+35=170分でした。

算数が2問間違え(情けないですが、偏差値83だったので難しめだったのでしょう)、

理科が満点、

4科の偏差値は68くらいでした。

 

点数を発表したかったわけではありません。

算数は30分くらいで解けるので、時間は余ると思っていましたが、

国語に時間がかかりすぎ、結局解き終わりませんでした。

やはり4教科相当に鍛えられていないと終わらないものだと痛感しました。

 

入試の試験時間

 

受験生の中にも素材型であまり鍛えられていなくて解くのが遅い人もいると思います。

あるいは3年生から塾にずっと通っているのに解くのが遅い人もいると思います。

 

入試問題の方が時間に余裕があると言われます。

模擬試験ではなかなか終わらずに不本意な偏差値が続いたけど、

過去問の分量ならちょうど良いから力が発揮できるという受験生もいると思います。

そういう場合は問題はないのですが、

今回のブログは、入試問題でも間に合わないとか、もう少しテスト本番での時間の使い方を上手くしたいという方用の内容です。

 

過去問演習で解くのが速くなる?

 

ときどき、塾の講師に「過去問演習は時間を短めにしなさい」と言われることがあります。

理解に苦しみます。

雑に解くという悪習慣が染みつくからです。

それを言う講師は、時間を短めに設定すれば、早く解けるように変わると思っているのでしょうか?

計算問題や、超典型題や、1回解いたことがある問題ならば時間を意識すれば早く解けるでしょう。

 

入試問題の反復(そもそもそれをやって意味があるかどうかは不問にしますが)で解き方を知っている問題を素早く解くことと、

初めて解く、どんな解き方か考えなければ分からない問題を素早く解くことは同じなのでしょうか?

入試問題を解くという行為は同じですが、まったく違います。

その違いを無視してしまうと、不思議なアドバイスをするのでしょう。

 

解き方が速くなる具体的な方法

 

では、どうすれば入試問題を解く時間短縮ができるのでしょう。

  1. 計算は速く
  2. 超典型題は速く
  3. 迷い込まない
  4. 解き方を間違えない
  5. 問題文を何回も読まない
  6. 図を速く描く
  7. 文字を速く書く
  8. 同じことを何回も書かない
  9. 書き直さない

ザッと思いつくものを書きましたが、1つ1つ補足説明していきます。

 

計算は速く

1番の最初の計算問題もそうですが、

ほとんどの問題は計算して答えを出しますので、それらもすべて含めて速くという意味です。

言えば変わることではないので、いままで以上に時間を意識して計算練習をしましょう。

レベルを下げて5年生用の計算を素早く解くという練習も有効です。

筆算を書かないこと、暗算を使うことなども大切な要素です。

 

超典型題は速く

これこそ訓練の賜物です。

しかし、難関校になればなるほど超典型題は出ませんし、気づきにくいトラップが仕掛けられている可能性もあります。

ラッキー!典型題だ!と思い込んで、その問題の奥深さに気づくことなく誤答を出してしまうケースはよくあります。

塾講師同士で、「あの子は考えが浅い」という会話はよく出ます。

入試が終わったあと、「できた♪できた♪」と言って不合格になる生徒はこのタイプに多いです。

 

超がつくほどの典型題なら速く解きたいですが、そうでない普通の典型題は慎重に解きたいです。

解き方が定まり、消去算とか面積図とか天秤とかの答えを出すための道具を使うときには素早く使いたいです。

 

迷い込まない

図形にありがちです。

たくさんの補助線をひいて、頭の中も紙もぐちゃぐちゃというパターンです。

考えてから書くというのが正しい順番ですが、書いてから考える癖がついているとそうなりがちです。

 

考える→書いてから考えた方がいいと思うから書く→予定通りそこから考える

というのと、

とにかく書く→書いてから考える

同じ行為ですが、中味はまったく違います。

 

まず、線分図を描こうとが、速さは図を描こういう指導は誤解されやすいので、

私は避けています。

図形もまず補助線をひこうという考え方だダメです。

どこに補助線をひいたらいいかをよく考えることが大切です。

 

解き方を間違えない

この条件から何ができるか、いま求めたものから何ができるかと考えるのが算数です。

そういうように正しく思考していかないと無駄が多いです。

また、解き方が違うといっても一部使える部分もあります。

全消しをする習慣の受験生もいますが、再利用することも大切です。

 

問題文を何回も読まない

難しい問題で悩むと、問題文を何回も読みますが、これは時間の無駄です。

前述の通り、算数は問題文の条件から何を求められるかを考える科目です。

条件らしき部分に下線をひいて、この問題にはいくつの条件があるのかを把握しましょう。

そうするとどの条件を使おうかという意識で問題に取り組めますし、

分からなくなっても他の条件に切り替えるだけなので、無駄な作業が減ります。

 

スカイプ指導で、ときどき音読してもらいますが、

それは条件を意識してもらうためです。

下線をひくという作業は、音読と同じような効果があります。

条件以外で、答え方に下線をひく人もいますが、線の種類を替えて、条件の方を目立つものにしましょう。

 

図を速く描く

これも鍛えられている受験生は強いです。

図は速く正確に描くというのが理想で、案外と言うべきか、周知の通りと言うべきか、こういうところで時間の差が出ます。

 

文字を速く書く

図を描くとほとんど同じです。

他の教科にも通じます。速読の練習をする生徒さんもいると思いますが、速記の練習も重要です。

十分な学習量をこなしてきた(たくさんの問題を解いてきた)受験生は十分に書くのが速いので、速記は不要ですが

問題をあまり正しく解かなかった子で、書くのが遅い子は速記も有効です。

 

同じことを何回も書かない

(1)と(2)で同じように書く場合は兼用できることがあります。

書くことを減らすことが美徳(解けなければダメですが)と考えるといいでしょう。

 

書き直さない

例えば、平面図形や立体図形の問題は、問題に載っている図が役に立たない場合があります。

「そんな図を有り難がって使っちゃダメだよ」とよくスカイプ指導で言っています。

あまりにも難問で、作問者がサービスとして図を載せてくれている場合は利用しますが、

そうでない図は、ただより高いものはないという感覚でとらえた方が良いです。

途中まで、問題に載っている図を使って、上手くいかないから解きやすい専用の図を描き直すのは2度手間です。

基本的に図は自分でかくものという意識が必要です。

 

余白欄の使い方も重要です。

明らかに下に書いていくのに、下のスペースがあまりないところに書いてしまったら、

苦しむか書き直すかのどちらかになります。

最初から、このくらいのスペースが必要だから、ここに書こうという意識が必要です。

 

まとめ

国語の問題は、問題文を速く読むという速読の力がかなり問われますが、算数はそれほど速読の必要はありません。

解くときの無駄をなくすことが大切です。

しかし入試本番でなければ、敢えて時間のかかる方法で解くのも良いと思います。

この書き出しはこのくらいの時間がかかるという体験が時間の使い方を上手くしてくれます。

温室育ちで「これは時間がかかるからこういうように解きなさい」という指導を受け続けるのは正しくないと思っています。

入試本番ではそんな神の声は聞こえませんので。

 

時短については人によってかなり意見が異なると思います。

今回の内容は個人的見解が多いので、ご承知おきください。

少しでもご参考になれば幸いです。

 

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