偏差値65以上を目指す5年生の学習

5年生の通塾の弊害

大手塾では5年生の算数が大変だと言われます。

特に5年生後半です。

理由は、4年生の内容が簡単すぎというのと、5年生で難しい領域まで扱いすぎの2点です。

6年生の前期は、5年生後期とほぼ同じ内容です。

5年生後期に頑張ったから、その分、6年生前期は簡単とはなっていないようです。

5年生後期は大変だったけど、頑張って取り組んだ→でも、身につけられずに6年生前半に再度学習し直し

このような流れが起きやすいです。

毎週のようにコロコロ単元が変わり、しかも高いレベルの難問も演習しなければいけないとなると、それは大変になります。

このページでは偏差値65以上を目指す、優秀な子向けの内容ですが、そういう優秀な子でも負担は大きいと思います。

基礎の土台が固まっていないうちに難問に取り組んでも効果がありませんし、扱う単元が、毎週変わると、全体像を掴んで体系立てて身につけられないからです。

 

例えば、食塩水なら「食塩水・濃さ・食塩の重さを把握する問題」「面積図で処理する問題」「複数の容器間でやりとりする問題」を学んでようやく全体像が掴めます。

これには2~3週間の学習が必要だと思います。

また、平面図形と比は重い分野ですので「慣れる→理解できる→問題が解ける→応用まで手が届く」というサイクルが必要ですが、これには1か月くらいはかかると考えています。

それを1週間で取り組み、翌週も復習編として出てくるとはいえ、また別の単元が登場すると、そちらに力を入れなければならなくなり、結局は1週間で完結していかないと、ざるで水をすくう学習スタイルになりそうです。

学習単元のレベルは一定ではなく濃淡がありますので、ここは重要という単元には時間をそれ相応にかける必要があると思います。

 

大手塾ではどうしてそのスタイルを維持しているのかと言いますと、それを乗り越えられる塾生がいるからです。

脱落ゲームの勝者のようなものです。

一部の特別な優等生以外は、勝つために、もの凄いエネルギーを使っていると思います。

自転車に例えると、ギアの一速でもの凄くペダルを速く回して進んでいるようなものです。

十段変速の自転車なら、一速じゃなくて十速でペダルをこげば良いのにと思ってしまいます。

 

では、5年生でどう勉強すればいいか

算数教材塾・探求の5年生用の教材は、小5対話式算数以外にもいろいろありますが、その中で、ハイレベルな教材としては、「小5長期場合の数」「小5長期平面図形H」「小5グランプリ算数」「小5応用力をつける」をラインナップし、それらは、大手塾よりも難しいと思います。

グランプリ算数も応用力をつけるも、場合の数を中心とした数系の問題が多いです。

つまり、場合の数と平面図形は大手塾以上に難問に取り組み、それ以外の分野は難問には取り組まない方針です。

算数教材塾・探求では、難しい問題を扱えば、難問に強い子に成長するわけではないと考えていますので、場合の数と平面図形以外の難問は、学習する必要性はないと考え、そこに時間と労力を注ぐのなら、それを場合の数と平面図形に一点集中させた方が良いとしています。

来る日も来る日もといったら大袈裟ですが、場合の数と平面図形と比の難問しかやらないとしたら、負担は大幅に軽減できます。

 

もう少し具体的に書きますと、例えば、食塩水や売買損益算や仕事算の難問は、他の単元との融合問題になるか条件が増えることになります。

そういう問題を5年生の間にやっても得るものが無いと思います。

割合と比は、特にしっかり頑張る時期がなくても、いつの間にか、難しい問題ができる時期がきます。

流水算や通過算や時計算の難問は、速さと比のスキルをもっと上げてから取り組んだ方が効果的です。

数の性質の難問は、構造の仕組みを理解できていない時期に解いても、覚える算数になってしまいます。

 

このように、難問は取り組むべき時期がありますので、タイムリーな時期に取り組めば負担軽減で、学習効果を上げることができ、取り組むべき時期よりも前倒しになると、労力は大きいけど、リターンはないとなってしまいます。

先ほどの自転車の例に例えますと、山登りで、ハイギヤで走行することが困難な単元です。

そういう山を5年生で登る必要があるかどうかです。

6年生の夏以降になったら、体力がついて、一速ではなくて四速くらいで登れるかもしれません。

この山は登るか登らないかを判断して、作戦を立てますと、案外、5年生の学習が楽になります。

いま何をすれば良いかを考えると、負担を減らして偏差値65以上を達成できると思います。

 

5年生は自宅学習にするなら対話式算数で

4年生ならともかく、5年生からは塾に入っていないとまずいと考えがちですが、そうでもありません。

四谷大塚偏差値65以上の難関中を目指すのであれば、通塾すると、上位クラスの経験豊富な講師からや、塾のクラスメイトから知的な刺激を受けることができ、メリットは大きく、一流家庭教師を雇えば、見えていなかった視点を伝えられ、知る喜びを感じます。

しかし、それがなければ難関中合格が不可能ということではありません。

通塾が必須というわけではありません。

  • 楽しく勉強ができるか
  • やり甲斐のある勉強ができるか
  • 知的好奇心が満たされるか
  • 理解することができるか
  • 難問が自力で解けるようになるか

これができる環境ならば、塾は不要です。

いずれも教材が鍵を握ります。

教材が少々粗くても、保護者が教えたり、プロ家庭教師を雇っていれば解決し、自宅学習でも大丈夫と言えますが、ここでは「自宅学習=自力での学習」という定義で進めていきますので、教材がすべてと言い切ることにします。

塾は競争社会で、競争の環境がないと成長しないタイプならば、塾は必須と言ってもいいですが、競争はなくてもいい、もしくは、むしろ競争がない方がいいという場合は、かえって塾に行かない方が、しっかりとした学力が身につきます。

上記の楽しく勉強ができるの中に「理解する喜び」と「自我のような他人に認められる喜び」がありますが、後者の意識が強い場合は、通塾が良いと思います。

まとめますと、塾に行っても自宅学習でもどちらも難関中学に合格できる力をつけられますが、個々の性格によって、どちらが良いか決まります。

みんな塾に行かないといけないという風潮は、それは違うとは思っています。

 

カリキュラムを順調にこなしていけば良いですが、競争というものはありませんので、深追いする必要はありません。

前項の通り「割合と比」はいずれは誰でもできるようになりますので、背伸びしすぎる必要はありません。

難しいものを避けていき、逃げ腰と思われるような学習態度が、実は吉となります。

これは、なかなか通塾していて競争社会の渦中にいると難しいことですが、自宅学習の利点として、避けることも立派な作戦と捉えると良いと思います。

 

重視するのは、4年生から引き続き「場合の数」です。

小5長期「場合の数」が終わりましたら、小6場合の数「場合分けの力をつける」「小6強化場合の数」など、ありとあらゆる場合の数を取り組んでも良いです。

そして「小5グランプリ算数」や「小5応用力をつける」などの応用問題も取り組みたいです。

いずれも場合の数を中心とした数系の問題が多い教材です。

また、「割合と比」を学習し、その後「平面図形と比」まで終わったら、小5長期「図形H」の第11回以降の「平面図形と比」をしっかり取り組むと良いと思います。

「場合の数」と「平面図形と比」と、数系の応用問題に力を入れる1年間にすると良いと思います。

 

先取り学習をしてきて、小5対話式算数が既に終わっているという場合は、小6対話式算数に入っても良いですが、それと並行して、上記の数系の教材や「平面図形と比」をしっかり学習すると良いと思います。

模試を受けての立ち位置の確認は、行っても良いですが、必要は無いと思います。

上記の教材を取り組んでいきましたら、立ち位置は分かります。

 

難関校に合格する力をつけられるかどうかは、上の5つ目の「難問が自力で解けるようになるか」です。

塾に行って、講師の解説を聴いた方が難問が解けるようになるか、自宅学習で、良い教材を使って学習した方が難問が解けるようになるかは、子供の能力、性格によって異なると思います。

勉強に限る話ではありませんが、案外、バックボーンがないと、話を聞いても、得るものが少ないと思います。

理解して分かっている人が聞くと、「なるほど!そういう考え方もあるんだ!」となりますが、その状態までいっていないと、なんとなく理解できたで終わってしまいます。

書物は分かるまで読むということができます。

 

次のシーンは小6対話式算数の速さの峠を越える問題の解説の一幕です。

特別な解法ではなく、6年生の指導に慣れている講師ならば、だいたい同じような解説をしていると思われます。

茶 さっきの表とほとんど同じか…
白 いいや。今度は、すべて丸数字になっているよ。
茶 本当だ!どうして?
白 PQ間とQS間は距離が同じだからだろうね。
茶 それは分かっているよ。自問自答したかっただけだよ(笑)距離が同じだったら時間の比は速さの逆比だもんね。そうやって③と②を書き入れられるんだね。

先 そういうこと。行きは60分だから、③+②=⑤=60-40=20分で、①=20÷5=4分だから、PQ間が③=4×3=12分で、80×12=960mというわけです。

茶 いまの3番目の方法も良かったけど、1番目の比の消去算がいいかな。

先 上りと下りの速さが分かっているときは、比の消去算が単純に解けるからいいかもね。

茶 上りと下りの速さが分かっていない問題もあるんですか?

先 あるわよ。そういう場合は、坂の長さの差に注目する2番目や3番目の解き方になりますね。

茶 なるほど。比の消去算だけ身につければいいわけじゃないのか…

先 応用になると、坂だけじゃなくて平地もある場合があります。そういうときも比の消去算では無理ね。

茶 比の消去算は、それで解ける問題はいいけど、脆いな~

※先生と白くま君と茶くま君の3人の授業になっています。

これをゆっくり一文一文理解しながら読むことは可能だと思いますが、塾で授業中に流暢に説明されている中で、しっかり理解していくことは、想像し難いです。

結局、なぜ、そういうことをやっているのかが授業では吸収できずに、家で問題を解きながら、自力で感じ取れるかどうかです。

塾の解説には、この会話文のような細かい部分までの記述は無いと思います。

講師がそれを授業中に伝えているはずだからです。

難しい内容になると「覚える算数」になるとは、授業中に細かい部分まで理解して吸収できず、家で問題を解くだけでは細かい部分を感じ取れずに、しっかり記述されていない解説を真剣に読んでも解法を覚えるだけになるというサイクルです。

つまり、塾で算数を学ぶよりも、自宅でじっくり良い教材を使って学習した方が学習効果が高いのでは?といままでずっと思っていましたが、ここ数年、それが確信に変わっています。

また、クラスの昇降を気にすることなく、重要分野の場合の数にずっと力を入れ続けることができるのは自宅学習のメリットです。

 

小5対話式算数が終わったら

自宅学習の場合、小5対話式算数を毎週1話ずつ学習していきます。

先取り学習していましたら、5年生の間に小5対話式算数が終わります。

その後を考えてみます。

5年生の間の学習は下のものが考えられます。

  1. 小6対話式算数を取り組む
  2. 「場合の数」「平面図形と比」「速さと比」「立体図形」「数の性質」を重点的に取り組む
  3. 小4&小5対話式算数を完璧になるまで反復する
  4. 予習シリーズや中学への算数など市販の教材を取り組む

小5対話式算数が終了したとなると、場合の数や平面図形以外の応用問題に取り組む作戦もありですが、本当に、小4対話式算数・小5対話式算数の内容が身についているか、総復習をすることが先だと思います。

それが一通り終わりましたら、後は自由にやりたい勉強をやっていけば良いと思います。

上の①~④のいずれかを取り組んで、新6年生から通塾を開始しましたら、これまたサピックスでも偏差値65以上は確実と言える状態だと思います。

自由と書きましたが、どちらかといいますと、①がお勧めです。

まだ5年生では難問は難しく、難問をやることで、いままで築き上げていたものが崩れる恐れもあります。

小6対話式算数で、解法テクニックを身につけてから難問を取り組んだ方が、無難な選択だと思います。

 

小6対話式算数を取り組む

小6対話式算数は単元別と難問に分かれます。

難問はさすがに5年生では厳しいと思います。

単元別は、5年生では扱えなかったテクニック的なものをたくさん吸収できます。

算数はテクニックではなく、書き出してでも答えを出せる地力が大切ですが、テクニックもあるに越したことはありません。

小5対話式算数が終了しましたら、テクニックを身につけても良い時期だと思います。

 

「場合の数」「平面図形と比」「速さと比」「立体図形」「数の性質」を重点的に取り組む

場合の数

場合の数は難度に上限がありませんし、優秀生な受験生でも程よく差が付きやすい問題になりやすいです。

場合の数の力はあればあるほど、得点力は安定し、数系の応用問題にも強くなります。

小4・5で力を入れたいのは場合の数一択でしたが、小5対話式算数が終われば、どの単元を重点的に学習しても良いですが、ここで継続して場合の数に力を入れても良いと思います。

 

平面図形と比

平面図形と比は基本的な解法の型が出来ましたら、与しやすいので、扱ったとしましても1~2か月の短期間で終えることが出来ます。

解法の型は、小5対話式算数と小6対話式算数で出来上がります。

 

速さと比

速さと比は、図を描く問題かどうか、ダイヤグラムを描いた方が良いかの判断がポイントです。

速さというと、なんとなくすぐに図を描く子が多いですが、案外、速さ・時間・距離を把握すれば解ける問題や、比例の要素だけで解ける問題が多いです。

分かりにくいときは、図を描いてイメージを湧かすことが大切ですが、「速さ=図を描くこと」ではありません。

図が不要な問題で、図を描いていたら正答する可能性が下がります。

豊富な練習で、解法の糸口はどこかを探る感覚を磨くことが大切です。

平面図形と比よりもマスターするまでの時間は長いですが、場合の数よりは難度に上限があります(上限超えの超難問はありますが、ほとんどの受験生が解けないので気にしなくて良いです)

小6に跨いでも良いですが、半年くらいじっくり取り組めましたら、しっかりマスターできると思います。

 

立体図形

立体図形は、速さとは異なり、解法の糸口は分かりやすいですが、緻密な作業が必要です。

それを小学5年生で扱った方が良いかとなりますと、個人的意見では「No」です。

5年生で扱うよりも6年生で扱った方が、マスターする時間が短いと思うからです。

立体図形は場合の数のように難度に上限はありませんが、難しくなると正答率が下がるので、気にしなくて良い分野です。

差が付きやすい問題をマスターすることは、それほど難しいことではありません。

 

数の性質

場合の数と同様に、最難関校は、数の性質がとても重要です。

数の性質は難度に上限がありませんし、優秀生な受験生でも程よく差が付きやすい問題になりやすいです。

数の性質の力はあるに越したことはありません。

しかし、取り組む順序は、場合の数→数の性質だと思っています。

小5の間に場合の数に力を入れ、小6のときに数の性質に力を入れられれば理想的です。

昨年度、とても優秀な生徒さんをスカイプ指導で教えたときは、小5の夏休みに場合の数を一気に取り組み(優秀だからこそ成せた作戦です)、小5の秋から数の性質に入りました。

数の性質はじっくり小6の1年間で料理しましょう。

 

小4&小5対話式算数を完璧になるまで反復する

最難関校を目指すならば、これだけでは少々物足りないような気がします。

場合の数と並行などならば良い作戦です。

志望校や、お子様の状況によって作戦の是非が変わると思います。

 

予習シリーズや中学への算数など市販の教材を取り組む

取り組んでみて、相性が良ければそちらにシフトしても良いです。

要するに、小4で小5対話式算数が終われば、あとは何をやっても血となり肉となります(効果のない学習スタイルもあります)。

しかし、上記の通り、場合の数は並行して取り組むと良いと思います。