算数の問題を解くのに、書き方はとても重要です。
割合や速さや和と差の文章題はもちろんのこと、数系の問題、図形の問題でも書き方はとても重要です。
しかし、スカイプ指導で初めて担当する生徒さんの解く姿を見ますと、とても軽視されています。
理由は簡単です。
書き方が重要だと思っていないからです。
小学校で簡単な問題で暗算でもできる問題なのに「式を書きなさい」と言われ続け、義務で式を書いていく姿勢が染みついてしまっていると思います。
器用な子は、塾講師が説明するときにかいたものを、真似してかいたら解きやすくなるという感覚でかいて解きますが、不器用な子は必要なものと考えずに真似をしようという行動に起こりません。
器用な子と不器用な子でどちらが優位かと考えますと、あまり変わりません。
塾講師の真似をして書いている器用な子が、ゆくゆく、これはこういう理由でこう書いているんだなと気がつくか、あまり書かない不器用な子が、ゆくゆく、これはきちんと書いた方が解きやすいと気がつくかです。
義務ではなくマニュアルでもなく、自由だけど、それを選択するという姿勢が必要です。
これは必要なもので、こう書かないと解けないから書くという感覚が重要です。
早い段階からその姿勢を身につけたいです。
私は、その気持ちをできるだけ早くつくった方が、学習効率が上がり、学力が向上しやすいと考えています。
そのために必要なことは以下の点です。
- 暗算でできる問題は式を書かない
- 暗算でできる問題だけで終わらせず、応用に入る
応用に入ると、書き方の重要性を感じやすいのはいうまでもありません。
SNSで途中式の有効性を書く人がいます。
理由は以下のものしかないと思います。
- 途中点を取れる
- 解いた流れがつかめる
- ミスに気がつきやすい
途中点は、入試の戦略で、学力向上には関係がありません。
算数は数学とは異なり、式変形を繰り返して答えを出す科目ではありませんので、式を書かずに、ちょこちょこ数字をメモをする程度でも、上から書いて、筆算をしっかり残せば、解いた流れもミスの話も当てはまらないと思います。
途中式を語る人は数学とごちゃ混ぜで考えているのだと思います。
例えば、半径3㎝、高さ5㎝の円柱の表面積を求めるとき、
3×3×3.14×2+3×2×3.14×5=(18+30)×3.14=48×3.14=150.72㎠
「=」を縦に並べる習慣がある人もない人もいます。
ちょこちょこと数字を書いて「3.14×48」の筆算が書かれます。
まとめずに「3.14×18」と「3.14×30」をそれぞれ計算する人が多いです。
ちょこちょこと書く数字の位置と、筆算さえしっかり書いていれば、この2つで違いがないと思います。
私の推奨している書き方は、途中式ではなく、表を書く方法です。
下のようなものです。
項目 | 結果 | 式 |
---|---|---|
底面2個 | 18円 | 3 3 2 |
側面 | 30円 | 6 5 |
合計 | 48円 |
立派な表にしましたが、1段目はいりませんし、罫線もいりませんし、底面2個は「て2」、側面は「そ」で十分で、合計は不要です。
式は、底面積は「半径・半径・2個分」を並べたもので、側面積は「直径・高さ」を並べたもので、間違えない自信があったら省いても良いです。
「円」は3.14を先に計算しないように数学のπのかわりに円周率を表す記号です。
これならミスにも気がつきやすいし、暗算を多用して早く解けます。
すっきりすることで、ストレスを感じず混乱せずに考えやすくなります。
そして最大の利点は、解く前に、自分はこれから何を求めるのかを左の項目に書くと、求め忘れることがなくなります。
人間は不思議なもので、大変な計算をやると、その達成感からか、そのあと求めるものを忘れがちになります。
あらかじめ項目名を書いておけば忘れにくいです。
今回書きました表を書く解き方は私の好むスタイルなのですが、表ではなくてもいいです。
しかし、あきらかに、一般的な途中式と比べてデメリットはなくメリットが大きいです。
この表に劣らない書き方ならば良いですが、なかなかそれを小学生が考えて実行するのは難しいです。
結局は、良い書き方を真似することが楽で安全です。
良い書き方をすると、解く負担が減るので、その分、問題をじっくり考えることができます。
自分の持っているエネルギーを、途中式に使わずに、問題を考えることに使うというイメージです。
算数は暗記の算数になってはいけませんが、解き方を覚えて、それを使って解くという側面ももちろんあります。
いままで経験したことがあって解き方が分かる問題は、その解法で答えを求めて良いですが、そうでない場合は、まず表で整理すると考えやすいです。
速さは図でイメージすることがありますが、それ以外の文章題は表が良いと思います。
つまり、表を書くスキルを上げていくと、パッと見て解き方の分からない文章題に強くなります。
規則性や数の性質などにも有効だと思います。
表の書き方を真似して、表を書く姿勢をつくることが、とても重要だと思っています。
対話式算数は、表を書くことを重視していますので、それを身につけて欲しいと思います。