プライベートですが、家族のために中学入試分析会に行ってきました。
相変わらずサピックスの集客力は凄いですし、みなさん静かにしっかり聞いています。
まず神田先生のいつもの話です。
何%増えた、何%減ったという話が大半ですが、それはほとんど役に立ちません。
20%以上増えたとか減ったのであれば、その分析とともに語るべき価値がありますが、10%未満の増減で大袈裟に語っても意味がありません。
理由のつかない増減の情報が一人歩きすることがかえって怖いです。
そして神田先生の話はほとんど分析がありません。
どうしてそういうことになったのか理由があったのは「2020年が不透明だから大学付属校が人気があった」だけだったような気がします。
それでも進学校の女子中でも増えている学校がありますし、大学付属校でも男女で人気の相違があるわけですが、その理由に触れず、理由にこだわる人には、消化不良だったのではないでしょうか。
併願パターンの話も、偏差値表から考えればそれしか選択しないんだからと思ってしまいますが、桜蔭の併願は豊島岡女子が多く、女子学院の併願は吉祥女子が多いという話を初めて聞く人にとっては有意義な話が多いのかもしれません。
最後は定員に占める占有率と合格者に占める占有率の話で締めますが、それはまったく意味がありません。
よく、いくら合格者数が多くても、うちの子が受からなければ意味が無いと聞きますが、その最たる例です。
分母を定員にするのなら、分子は当然進学者数にすべきです。
「合格者数÷定員」の意義が分かりません。
100%を超えたら、そのおかしさが分かるのでしょうか?
しかし、その話題になったときに、メモを取り始める保護者が多かったことから、保護者にはとてもインパクトのある貴重な情報なのかもしれません。
他塾で勉強したら受かりにくいと思わせるインパクトはあると言えばありますね。
本当に伝えて欲しい情報は、サピックスオープンを受けて同じ成績を取っているサピ生と非サピ生の受験結果の違いです。
サピ生の方が合格率が高いのであれば、サピの最後の仕上げは素晴らしいと評価できます。
でも、それを外部に出せないということは、大したデータにはなっていないことの証明になります。
浅野や海城は大学実績が高く敬遠傾向とありましたが、同じ好調の早稲田は大学実績が良いから人気増といっていました。
3日は浅野・海城から早稲田に流れていて、それは大学実績以外の理由ではないでしょうか?
また、どの層が流れているのかが重要です。
2日の聖光のレベルが高くなっているので、3日はもっと手堅くというケースもあるような気がします。
2日校、3日校はもっとプロらしい分析を聞きたいと思いました。
理由がほとんど無く、ときどき語る分析も納得いかないことが多い印象でした。
そろそろ話す構成を変えてもいいのでは?と思ってしまいました。
大御所の神田先生にそういうことを言える社員がいないのでしょう。
皆、分かっているとは思いますが。
続いて算数です。
おおむね良い話でしたが、ちょっと首を傾げたのは、
- 合格者平均点は気にしない
- 立体図形は努力を見る問題だから出題する
- 駒東の問題は的中したので、有利だった
- 麻布の292は学校からのメッセージ
- 長文を読めるように、短い文でも丁寧に読む習慣をつける
- 教わったものはしっかりマスターし、応用をできるようにすることが算数の学力を上げるために必要
- 先取りはNG
いま書きましたが、全体的に有意義な良い話だったと思いますが、7つも疑問点がありました。
逆に特に良い話だったのは、数の感覚が鈍い原因などです。
買い物に行ったらカードで支払ったり、電車に乗るときも切符を買わなかったり、現代人は数字に触れる機会がありません。
特に意識しなければ、昔の人のように数に触れることができず、感覚が鈍るというような話です。
(相当オリジナルに書き換えていますが、こんな内容でした)
1~7まで順に感想を書いていきます。
1は、これは気にするべきです。
隔年現象の話までしていたので、なおさら、前年度難しければ、簡単になることも想定して、ミスのない学習を心がけるとか、簡単ならば、難しくなることを想定して難問の練習もしていく心構えが必要なはずです。
隔年現象の話をして、平均点を気にしないというのはちょっと首を傾げます。
2は違います。
立体図形の方が大学受験に強い優秀な生徒が獲得できると私学は考えていると思います。
速さでもそういう優秀な生徒を選べると思いますが、数学の先生ならば立体図形の問題を作る方が簡単なのだと思います。
立体図形と場合の数が2本柱になっているのはそういう理由だと思います。
3は、そこまで言うのなら、前年度に比べてボーダー層の合格率の話をしないと説得力がありません。
その問題が的中してサピ生有利だったとしても、他の問題では、他塾が有利だったのかもしれません。
的中話は話が軽くなるので、避けた方が良いと個人的に思っています。
合格者数が増えたので、少々のアドバンテージはあったとは思います。
4は違います。
麻布の教員の中に、こういう作問が得意な先生がいるということだと思います。
プロ野球のヤクルトに山田という2年連続トリプルスリーの選手がいますが、それはヤクルト全体の話ではなく、山田個人の話です。
よく、入試問題は学校側からのメッセージという人がいますが、ひとりの作問する先生のメッセージです。
どういうスタッフが作問をしているのかという視点が大切です。
292は数のセンスとしてあげていましたが、個人的には、その問題は入学者選抜というより、麻布の先生の実力披露の問題と評価した方が良いと思います。
5は考え方は個々によって違いますが、私は長文が弱い子は長文の問題を解く練習をした方が良いと思っています。
マラソンが遅い子はマラソンの練習をする感覚です。
6はあたりまえすぎて何も言えませんね。
そうなるためにどうするかという話がテーマのはずですが。
7は表面を先取りし、より授業で深く理解するという作戦はありだと思います。
サピックスの社員ならば口が裂けてもそれは言えないのでしょう。
先取りしてはいけないレベルの子が先取りして行き詰まっている生徒さんをたくさん見てきている実体験からの言葉でもあると思います。
まだ算数が終わったところですが、もう2000字超えですので、あとはサラッと書いて終わりにします。
国語はとにかく説明が速く、何を言っているか分かりませんでした。
正確に言うと、何を言っているかは聞き取れるのですが、「役に立つ話を提供したい」と話し手があまり考えていないようでした。
話の中で、国語が上達するには「他者に伝わる表現力をつける」と言っていましたが、あれれれ…という感じです。
でも4教科トータルすると、良い話が多く、とても有意義だったと思います。
私事ですが、1年に1回くらいビール工場に見学に行きますが、行くごとに「このメーカーのファンになった!」と思ってしまいます。
こういうイベントに出ると、「やはりサピックスが良いかな!」と思います。