- 2018年7月12日
大学生が塾で講師としてアルバイトをするとき、時給が気になると思います。
集団塾だと1時間2000円くらいで、個別指導塾だと1時間1500円くらいだと思います。
私が学生のころもそのくらいかそれよりももう少し高かった記憶がありますが、
当時はコンビニバイトなどは時給600~700円でしたので、塾講師は高額というイメージでした。
現在はコンビニバイトでも時給1000円近いので、差がかなり縮まっています。
そしてよく言われるのは、塾講師は授業の予習があるからそれも時給に換算すると、とても安いとなってしまいます。
正直なところ、もし私が現在大学生なら、塾講師のバイトはやっていなかったかもしれません(笑)
そうすると、その後の人生はまったく変わったものになっていたことでしょう。
余談はさておいて、今回のブログは予習をテーマにします。
塾講師の予習といっても、科目でまったく異なります。
国語講師は予習が大変と言います。
想像に難くありません。
読解なら7000字とか10000字の文章を読みこなさないと何も教えられないと思います。
それを精読して、設問に目を通してという作業でもそれなりに時間がかかります。
それに対して他の科目は予習は軽いものです。
経験がなければ教える型をつくるのに時間がかかるので、学生講師が予習に時間がかかるというのは間違いではありません。
それをしっかりやらない講師もいるかもしれませんが、それは別次元ということで今回は触れません。
しかし数年間講師を務め、一通り、全単元の典型題の教える型ができたら、
その後は、個々の問題の解き方を理解して教えられるかだけのことです。
大手塾で毎年のように同じ教材を教えるのならば、予習は不要です。
実際、算数のそれなりのキャリアのある講師は予習はしないでしょう。
予習論について、国語講師と意見が噛み合いませんが、
これはサッカーのDFとFWの選手で考え方が異なっているのと同じようなものです。
先日、居酒屋で、酔っ払った数人のサッカー好き集団が大きな声で、「馬鹿なヤツがFWをやる!」
なんて言ってましたが、同じスポーツでもポジションによってかなり違うのでしょう。
まだ解いたことがない問題はもちろん予習をしないとキツいです。
とは言っても、一目見れば方針が立って教えられる問題もあります。
また、生徒さんに配付する解説がありましたら、
何を書いているのかさっぱり分からない解説じゃなければ、ほぼ100%その場で教えることは可能です。
これは算数ならではの特徴かもしれません。
理科・社会は生徒さんの誤答のパターンを考え、それを修正していく作業が必要になりますが、
算数の場合は、解き方のアプローチ、問題文の読み取り方、どうしてそういうことをするのかを伝えていくことが主で、
いままでの経験でなんとかなるからです。
やや脱線しますが、スカイプ指導では、
6年生後期になると、難関中を目指すお子様の指導のときには、教えて欲しい問題を事前に送ってもらっています。
しかし、それはあくまでも原則で、その場で質問を受けることの方が多いです。
そうすると、予習なし、解説無しのノーガードで教えることになるわけです。
そのときには、
「この手の○○の特徴がある問題は、こう考えていくと上手く行く可能性が高いよ」と言って解き進め、
最後は「やっぱりできるでしょ?」で締めることが多いです。
たまには失敗することもありますし、ときには解けなくて次回に持ち越しの場合もあります。
こういうノーガードでの授業は道義的にはどうかと思われるかも知れませんが、
実は効果があるのです。
「この問題が」と特定するのではなく、「この手の問題はそうやって考えていけばいいんだ」というアプローチの仕方が身につくことが大きいのです。
失敗したときも、どうしてここで失敗と気づいたのかを伝えることもできます。
事前にしっかり予習していたら、失敗はしませんので。
生徒さんの解き方を感じるセンサー、失敗を感じるセンサーを磨いていくことができます。
その問題が解けることが目的ではなく、これを機に次に出てくる問題が解けるようになることが目的のはずです。
「事件は現場で起きているんだ」という感覚に近いですが、
初めての問題に接するときの姿を生で見られるのは貴重だと思いますが、
さすがにこれは異論反論もあるかもしれません。
また、予習をしてもそのような演技をしてそのような指導は可能だとは思いますが、
なかなかそのような役者の境地に達するのは難しいような気がします。
今回は、塾講師の授業の予習論のようなブログになっていますが、実は書きたい内容はこれとは違うのです(笑)
現在、公立中学進学者向けの教材「もっとも深く学べる算数」の執筆に力を入れていますが、
第7話の約数は、書いては消し、書いては消しのくり返しでかなり苦労しました。
授業で約数を教えるときは、型に沿った教え方をして、
生徒さんの反応を見て、サラッと進めるか、さらに深く話を広げるか、丁寧に詳しく説明するかを調整していきます。
そういう臨機応変に対応できるのが授業の楽なところなのですが、教材作りはそれは無理です。
生徒さんの反応によって内容を変えられません。
型に沿って書いていきますが、ある程度深い話を入れ、つまずきそうなところを想定して解決できるような対話型にしなければなりません。
授業では理解不足を感じたときに、よりよく分かる図を板書しますが、
教材作りではそういったものも事前に用意しなければなりません。
参考書をパラッとめくっていっても、本気で作っている教材か、淡々と作った教材の区別はつきにくいですが、
実際に使用した場合、本気で作られた教材でなければ大きな効果が期待できないのは言うまでもありません。
本気の教材かどうかということに目を向けても良いと思います。