模試は入試に関係ないという本当の意味

大手模擬試験

 

私は以前から模擬試験重視派です。

大手模擬試験の合格判定と受験結果はかなりの相関関係があるからです。

どの偏差値の受験生がどのくらいの合格率かのグラフを見れば一目瞭然です。

力があれば、模試もできるし、志望校の入試もできるという至極あたりまえのことです。

大手塾主催の模擬試験は巧みに練られているので、得点力が如実に表れるということです。

 

かなり前ですが、3塾合同テストという、飲み友達の付き合いでやっていたような、前職にとってメリットゼロのテストは、

癖が強くて受験結果と相関関係があまりなかったです。

難しすぎて、捻られすぎて、難問に対応できるかどうかしか判別できないテストだったからでしょう。

中学への算数の模試と同じノリで作らないで~と叫びたくなるほどでした。

3塾合同テストの話はこのくらいにしておきます。

 

大手模試は、模試の結果と入試結果で相関関係は強いとはいえ、必ずしも一致はしません。

高い偏差値を取っている受験生でも本番は不合格ということもありますし、逆もあります。

逆の場合は、本来は力はありながらも低い偏差値になってしまっている場合があります。

担当していれば、この偏差値は学力が反映されていないと分かりますが、

合格者の最低偏差値ということで数字だけ一人歩きすると、

次年度受験の5年生にとっての救世主の存在になりそうです。

 

模試より過去問ができる

 

ときどき、模試よりも過去問ができる子がいます。

不正のケースは論外とします。実際はかなりありそうですが。

 

  • 偶然
  • 模試のボリュームに負ける
  • 模試の洗練された捻りに合わない
  • 模試の易しい問題でミスが目立つ
  • 模試の問題用紙のレイアウトが苦手(冗談ではありません)
  • 志望校の問題のときは集中力倍増
  • 志望校の問題は少なくてじっくり考えられる
  • 志望校の難易度がちょうどピッタリ
  • 志望校の独特の捻りに強い
  • 志望校の問題用紙のレイアウトが好き
  • 家で解くとリラックスできて強い

 

このあたりが理由になると思います。

ちょっと多すぎですね。

 

この場合、どうして志望校の過去問ができるのだろう?

と考えがちですが、逆に考えた方が良いと思います。

どうして模試ではできないんだろう?というようにです。

模試特有のシステムに弱いのであれば、弱点強化は必要ですが、死活問題ではありません。

 

塾からは、「模試と志望校の過去問を総合的に判断して」と言われます。

政治家の得意な都合のいい単語を使われると抽象的すぎてどう捉えていいか分かりません。

こんなところで政治家の真似はしないでほしいものです。

そういえば前職の上司もよく総合的に~と言っていました。

理由は言えないけどオレの言うこと聞け!という言葉に変換されて聞こえてきたものです。

 

模試は入試に関係ない

 

ときどき、模試は関係ないと言い切る強者もいます。

塾講師や家庭教師や掲示板の回答者にです。

たしかに本番のテストができれば良いのですが、

「模試ができない=学力が低い=合格は難しい」となるわけで、

模試は関係ないと聞くと、いい加減なアドバイスだと顔をしかめてしまいます。

 

しかし、最近、深読みすると、その発言は正しいと思うようになりました。

 

隣の芝生は青い

 

生徒さんの成長の度合いはだれも分からないので、

6年生の春の段階くらいまでは、秋の模試でどれくらい取れるかが重要と言われ続けます。

そして6年の秋を迎え模試を受けますが、会心の出来の受験生もいる一方、不調の受験生もいます。

あまりブレない受験生もいますが、大きくブレる受験生もいます。

 

よく、模試の結果で一喜一憂するなと言われますが、私は、感情の起伏は良いと思っています。

しかし学習スタイルの変更は慎重にすべきだと思います。

動いた方が良いのか動かない方が良いのか、個々の状況によって異なるからです。

 

悪い結果が続くと、隣の芝生は青く見えるように、

起死回生の問題集を探したり、自学自習の時間を減らして個別指導に通い始めたり、作戦変更に気が行きがちです。

 

もちろん作戦変更して大成功というケースもありますが、

その変更はほとんど意味がないとか、

あるいは、いままでやっているものを排除して新しいものを始めるので、その排除した分でマイナスになる場合もあります。

 

  • いまやっていることよりも価値があるか
  • 優先順位を変更するか
  • 優先順位の高いものに専念するか

 

このあたりのことを検討して作戦変更か否かを決めると良いと思います。

そう言えば、よく優先順位と語られますが、順位の低いものはどうして低いのかを納得していますでしょうか?

その理由に目を向けると、我が子オリジナルの優先順位を決めた方がいいということになるかもしれません。

 

模試は入試に関係ないの本当の意味

 

模試は、合格判定の意味もありますが、弱点補強の道標の意味もあります。

模試のあとにテンションを上げて弱点補強ができないのなら、受けたことが逆効果になってしまいます。

 

模試を受けたあと、冷静に、

志望校合格には何が足りないか、どのような勉強をしていけばいいかを考えるべきですが、

その冷静さを保てるように、塾講師サイドが「過去問重視で模試は軽視」と言い続けるのはありのような気がします。

 

塾講師にいくら過去問が重要と言われても、偏差値や合格判定の出る模擬試験を気にしないわけにはいきません。

しかし逆に、塾講師から、模試が重要と言われ続けていましたら、模試で良かったら油断し、悪かったら立ち直れなくなります。

その2点から判断して、塾講師は模試が重要と言わない方が良いような気がします。

嘘も方便と言ってもいいでしょうか。

 

ウィスキーのストレートを飲むときはチェイサーを交互に飲むような感覚です(例えが上手くなかったかもしれません)

 

悪ければ何回もやり直しの利く(くり返し解くという意味ではありません)過去問が重要で、

模試は、本番にどれくらい強いか、弱点単元の発見、4教科通しでテストを受ける体力強化のために重要

という位置づけが良いような気がします。

 

例えば、抑え校を探すときでも模試の判定で検討するよりも、過去問を解いた方が明白です。

温度差がありすぎて、この学校の問題ならできるよ~となるケースが多いです。

 

模試で良かった人、悪かった人、良いとも悪いとも言えない人など、100人いたら50通り以上の感想がありそうですが、

残り2ヶ月、正しいと思える勉強法で突き進んで欲しいと思います。

こんなことを書くのはためらいますが、

後悔のないように、塾講師や家庭教師のアドバイスよりも、保護者様の感覚を大切にして欲しいと思います。