ここ数年、ブラック企業という文字が溢れかえっています。
和民とかすき家とかをイメージしていましたが、学習塾にもその波が押し寄せてきています。
塾で主に問題となっているのは、「授業時間外で給料が発生しない」、「好きなときに休暇を取れない」の2点です。
塾講師は従業員
塾講師は、経営陣でなければ塾に勤務しているサラリーマンです。
しかし、仕事の性質上、個人事業主の側面があります。
合格させていくことと、売上を増やしていくことは同じようなものです。
大学受験の予備校講師は個人事業主だと思います。
個人事業主であれば、気ままに休めませんし、そもそも時間外という概念もないはずです。
契約している仕事を遂行するだけです。
人気がなければ契約打ち切りになるだけです。
しかし中学受験も高校受験も、れっきとした従業員ですので、矛盾点があるのです。
サピックスは、私が働いていたころは契約社員と呼んでいましたが、ボーナスも普通にもらえる従業員でした。
毎年契約更改があると聞いていましたが、1回もなかった気がします。
従業員は経営者に遣われる存在ですが、会社に守られています。
従業員と個人事業主のどちらが良いかとなると、従業員を選ぶ人が多いと思います。
経営者は、従業員を守る代わりに、労働基準法違反の扱いをしてしまうのでしょう。
総人件費はいくらとか、収益はいくらとか、広告費はいくらとか計算していくと、
従業員に予算以上は払えません。
でも、売り上げ増のために仕事をさせたい。
それが根底にありますので、解決は難しいと思います。
労働基準法を守っていなかったとしても、
書き入れ時以外は比較的休みやすくしたり、時間外はなんらかの特典(食事代とか現物支給とか)をつければ従業員の不満も減ると思います。
訴えられなければ問題はありませんので。
塾の時間外労働
大手塾はいまは時間外労働は割増賃金をもらえると思いますが、中小塾はドヤ顔で「交通費は払います!」くらいかもしれません。
そもそも塾の時間外労働とはなんでしょう。
「保護者会」、「面談」、「会議」、「研修」、「学校訪問」、「ビラ配り」、入試期間は「現地応援」、個別指導だと「報告書作成」あたりだと思います。
予習や採点も立派な時間外労働ですね。
私は、仕事には能動的な仕事と受動的な仕事があると思っています。
学生のころ、友人とともに1週間だけパン工場で夜勤で流れ作業のバイトをしましたが、あれはどう捉えても受動的な仕事です。
指を怪我したと言って運搬部門に逃げました(笑)
それに対して塾で教える仕事は能動的な部分が大きいです。
能動的な仕事だと、際限なく工夫ができます。
工夫した分まで「時間外労働!」というのでは、会社がつぶれてしまいます。
前職で、よく夜中の4時くらいまで働く講師がいましたが、その講師が残業代を請求というのは違います。
もちろんそんなことは言わずに働いていましたが、理由は分かりませんが、いまは早く帰るそうです。
働く方にとっても、スキルアップを感じるので、時間外まで熱心に仕事に取り組んでいるのだと思います。
私も、若いころは夜中まで問題を解いては教材を作り、解説を書きということをくり返していました。
早めに帰社するタイプでしたが、家でやっていました。
それが損とか得とか考えずに、やりたいからやっているだけでした。
いま、それが生きています。
目に見える形ではなかったので、ヤル気のない社員と思われていたかもしれません(笑)
逆に言えば、スキルアップを感じさせない業務ならば時間外まで働こうという気が起きません。
「働かせるんだったらちゃんとお金払ってね!」となってしまいます。
予習や採点は当然ですが、保護者会、面談、会議、研修、学校訪問、どれもスキルアップにつながりますので、
時間外手当が出なくても、私はムッとはきません。(幸せでもないですが)
あるいは、これをやれば生徒数増で、次年度から楽ができるのであれば、サービス残業しても損ではないと考えると思います。
自分のスキルアップのために、お金を出してセミナーに参加したり、スクールに通ったり、講演に行ったりしますが、
サービス残業もそう捉えてもいいと私は考えています。
キーワードはスキルアップできる仕事かどうかだと思っています。
ところで、最近問題になっている、個別指導塾の報告書作成っていったいなんでしょう。
というか、役に立っているのでしょうか?
保護者様に送るのであれば、もっと簡素化したものでも良いですし、
引き継ぎなどのためであれば、紙よりも、まず生徒さんを見てからとなりますので、どう役に立っているかまったく分かりません。
経営者の考えとしては、
「それを宣伝文句として顧客を集められると錯覚している」か、
「講師がしっかり仕事をしているかを管理するためのツール」か、
あるいは意味のない「慣習だから」というところだと思いますが、
意味のないことはやるべきではないと私個人的には常に思っています。
ブラック塾には通うべきではない
あれれれれっ
まだ本題に入っていませんが、すでに1700字です。
さて、慌てて本題に入ります。
ブラック塾と呼ばれている塾の講師は疲弊しています。
給料が安く休みが少ないと、趣味を満喫できません。
私はあまり趣味のない人と関わりたくないので、私が生徒ならば「無趣味の先生には教わりたくない」と思ってしまいます。
まあ、それは個人的な感想なので、どうでもいいことですが、
問題点はブラック企業と感じていて受動的に働いている講師は、良いアイデアを出せないと思うのです。
塾講師は、センスが最も大切です。
授業のセンスだけでなく、宿題の出し方、管理の仕方、優先順位のつけ方、苦手分野の克服法、受験パターンのアドバイス
すべてセンス次第です。
センスというのは、常にアイデアを出しては上手くいったり失敗していく中で磨かれていきます。
アイデアを出さない講師がセンスが良いなんてことはありません。
そういう点から考えてブラック塾に通うのは避けた方が良いと思います。
ブラック塾の見分け方
ブラック塾の見分け方は簡単です。
30~50代で生き生きした講師がどれくらいいるかです。
この方法で見誤ることはないと思います。
これは集団塾も個別塾も関係がありません。
個別塾はどこも学生ばかりというわけではありません。
集団塾にしても個別塾にしても、学生が多いのは人件費を下げたいだけで教育の質を軽視している経営者です。
人件費を下げたいということは、ブラック塾か、ブラック塾化進行中です。
それから、生き生きしている講師かそうでないかの見分け方も簡単です。
話せば分かります。
素人目線の質問で構いませんので、いろいろ質問しましょう。
自分のテリトリーではない話になったときの対応力に差が出ます。
乱暴な話し方になったり、分かりにくかったり、話題から逃げたりします。
月並みな言葉で締めたいと思いますが、どこがブラック塾なのかは分かりません。
掲示板からそんな情報を仕入れるのは意味のないことだと思います。
御自身の目で判断するしかありません。
通ったら間違いなく後悔すると思いますので、第1印象、第6感なども駆使して判断して欲しいです。