私は、昔から外食が好きでした。
母親から「お母さんの作る食事より美味しいの?」という冗談か本気か分からない言葉も幾度となく聞きましたが、好きだったので仕方ありません。
理由は分かりません。
好きなものに理由はないという感じです。
若いころは「安くて美味しいものを食べたい」と考えていました。
当時は、ファミレスはそれほど安くなく、それで、あまり美味しくなかったので、味と値段は関係ないという意識が植え付けられたようです。
しかし経験すればするほど、
良い食材を使い、味付けを熱心に研究している料理人の食事が安いわけがないことが分かりました。
安いにはわけがあり、大抵、そのわけは消費者にとってマイナスになります。
昨年、首都圏から田舎に引っ越して、テナント物件が安いから外食費は安いのかなと期待しましたが、淡い幻想でした。
客が少ないからなのか、競争が厳しくないからか、むしろ首都圏と同等かそれ以上です。
ランチは確実に800円以上はします。満足したければ1000円では収まりません。
首都圏のランチがディナーにくらべてバーゲンプライスなのかもしれません
とは言っても、高くても満足度が低いところはいくらでもあります。
値段と満足度は比例するわけではありません。
食べログで評価が高いところは客が集まるので、美味しくしようという努力が不足しているところもあると思います。
食材を落としても客が来れば利益が増大するので、そういうことを目指している経営者もいることでしょう。
ここまで書くとお分かりだと思いますが、中学受験のコストも外食産業とまったく同じです。
塾代と良い指導は比例しませんが、あるレベルのコストをかけないと良い指導はありえません。
問題集や参考書を例にします。
中学受験生の指導歴が短くて問題集や解説を作るなんてことは、私には考えられません。
進学塾で長年働いてきて、その仕事よりも教材作成を選ぶという人は、当然、安価では働かないと思います。
ビッグネームが参考書や問題集を執筆と言っても、実は影武者が書いている可能性もあります。
昔はよく「名前だけ貸したよ」という声を聞きました。
算数教材塾・探求の教材も決して安くはありません。
値段を下げて、その分、購買数を増やすという作戦もありますが、利益が同じならばプラスにはなりませんし、
少々利益が増えたとしても、販売にかける労力を教材作成にかけるエネルギーから捻出することになるのでマイナスだと言えます。
良い教材を作成したいわけで、販売したいわけではないということです。
家庭教師部門の対話式スカイプは、移動コストをゼロにしているので、真剣に家庭教師をしている人の中では格安だと思います。
仮に短時間で終わっても、空いた時間は「教材作成♪」という気分になりますので、残念でもなんでもありません。
時間を決めて、とにかく定刻までというのではなく、区切りが良ければお終いという形にしています。
結果的に指導時間が短くなり、料金が格安になるということです。
この方が双方にとって都合が良いはずです。
コストが下げられるという意識で、スカイプ指導をお選びになるのは違和感があります。
そもそも家庭教師を利用して尚且つコストを下げるというのは危険な考え方です。
安かろう悪かろうという言葉通り、指導にこだわりのない業者にお金を払うことになると思います。
コストを下げるためには、塾に行かずに家庭教師もつけずに自宅学習で、保護者様がかなりのフォローをするしかありません。
次は進学塾の授業料についてです。
保護者様の視点ではなく、私の目からすれば、この教育内容で、この授業料は高すぎると思える塾はいくつもあります。
学生バイトの時給から考えると、
よほど生徒数が少ないか、経営者が会社ゲーム感覚で相場よりも儲けようとしているかのどちらかです。
少人数制をうたっている塾も多いですが、
これからの年金と同じで、老人が増え、支える人が少なければ成り立たなくなるという話と共通します。
授業料は必然的に高くなり、思っているほど少人数制の学習効果はありません。
少人数でも、きめ細かく指導するのは、かなりの指導力が必要だからです。
そういうところを判断して、無駄に高いところは避けるべきですが、コストを意識するのはそこまでだと思います。
あとの基準は学習効果だけです。
学習効果を求めていっても無尽蔵に高くなるわけではありません。
会社ゲームの経営者の塾に通ってしまえばそうなってしまいますが、そこを避ければ心配はいりません。
よく塾ではオプション講座を取るべきと言いますが、それを取ることによって、自学での演習時間を確保できないのならばマイナスです。
志望校対策講座だって、その時間に家で過去問をやっていた方が効果が高いのでは?とつい思ってしまうこともあります。
学習効果を考えて、教わる、解くのバランスにこだわると、案外バリュープライスな中学受験勉強になると思います。
結局は同じことですが、お値段から選択するのではなく、
できるだけ自学の時間を取った方が学習効果が高いというお考えのもとで、結果的に安価となる方向を目指して欲しいと思います。